「fate」

*18*

「暗雲」


あれから、一週間。
ミニョに、会えない日々が続く。
徹夜の仕事を終え、明け方、会社を出た。
自宅のマンションに帰ると、シャワーを浴び、冷蔵庫から、ミネラルウォーターを取り出し、飲みながら、寝室に向かう。
日光を、カーテンで、遮断すると、ベッドサイドのテーブルに、ペットボトルを置き、ベッドに入る。
疲れているはずなのに、眠れない。
結局、眠剤が必要になり、テーブルに手を伸ばす。
薬を口の中に放り込み、水で流し込む。
眠剤が必要なく、眠れたのは、後にも先にも二回だけ。
…そばには、ミニョがいた。
ミニョの小さな寝息、無防備な寝顔、身体のぬくもりは、オレを、安心させ、心地よさを感じながら、眠りに就いた。
一度も目を覚ますことなく、深い眠りに就けたのだ。

"今度は、いつ、ミニョを抱きしめながら、眠れるだろうか…?"

そんなことを思っていると、薬の効果が表れ、意識を失うように眠りに就いた。

6時間後、薬の効き目がなくなり、目を覚ます。
携帯の画面を覗くと、着信が入っていた。
母親からの呼び出しだ。

待つのが、嫌いな母親を待たせないため、時間通りに、母親の元に行く。

母親は、昼間から、ワインを口にしていた。

「ねぇ、テギョン。先週、あのホテル、利用した?」

「それが、何か?」

…バレてると思いながらも、しらばっくれた。

「知り合いがね、あなたらしき人物が女性と一緒にいるのを見たと、言ってるのよ」

「人違いじゃないですか?」

「…そうでないと困るわ。あなたには、"婚約者"がいるんだから」

「"婚約した"覚えはありませんが…」

「先方が、あなたをお気に召されたようで、そのような方向でと、お返事を頂いたのよ。」

「オレの意見も聞かずにですか!!」

「あら、あなたは、"イヤ"って言うに、決まってるじゃない。それじゃ、困っちゃうもの。だから、こちらで決めさせていただいたわ。」

「失礼します。」

これ以上、母親の話も聞きたくもなく、頭を下げると、外に出た。

"政略結婚"
そんな言葉が、ピッタリと当てはまる。

結局、オレは、この運命から逃れられないのか…?

大事なモノを見つけたのに…!!
それを、捨てるのか!?
今さら、失うことも出来ない!!

暗雲が立ち込め、雨が降りだし、雨粒がフロントガラスを叩く。

行く場所は、決まっていた。



☆★☆★

"なう"でも書いたのですが、月曜日に、腰をギクって、火曜日は、寝違えたのか、首と左肩が痛いです。身体中が痛いぃ…。
・゜・(つД`)・゜・

「暑さ寒さも、彼岸まで」と言ったもので、日中と朝晩の気温が変わりましたね。
皆さまも、体調に気をつけて、お過ごしくださいませ。m(__)m