「fate」

*10*

「恋慕」


ミニョを、ひとり、部屋に残したまま、部屋を出た。
…もし、時間が許されるなら、このまま、ミニョとふたりだけで、過ごしていたかった。もっと、あの唇に口づけて、触れ合っていたかった。
だが、現実は、甘くはない…。
時間が、波のように押し迫り、そして、濁流に飲み込まれるように、時間に追われていく。

…ミニョ

お前と会っているときだけは、時間が止まってほしいと、願ってしまう。

こんな気持ち、初めてだ。
ここまで、ヒトを好きになったことは、なかった。

よく、付き合っていたオンナに、「冷たい」「ドライすぎる」「本当に、私のこと、好きなの?」と、何度も言われたことがあった。

言われるたびに、嫌気がさし、面倒臭くなり、関係が冷めていった。

今まで、オレが、会ってきたオンナと、全く違うモノを持っている、お前。

真面目で、素直すぎて、嘘が、つけない。
でも、芯は、しっかり通っている。
凛とした、真っ直ぐな瞳に、惹き付けられてしまう。

きっと、今度、お前に、触れてしまったら、離せなくなる。
すべてを捨ててでも、一緒にいたいと、思ってしまう。
これは、かなりの、重症だよな…。

こんなことを思ってしまう自分に、笑ってしまうが、ヒトを好きになるということは、きっと、こう言うことなんだと、思う。

今度、会うときは、必ず、お前に、想いを告げる。

これから先、どんなことが起こっても、お前に向かう気持ちは、決して、変わらない。



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