「happiness」

「life」

*11*


「あれ、ミニョは?」

ミナムが、ユエを連れて、病院に着く頃、ミニョは、すでに、分娩室に移動していた。
テギョンは、待合室で、その瞬間を待っていた。

「ユエ、おいで」

テギョンが、ユエを呼び、膝の上に乗せる。

「ユエ、今日、ソラが生まれるんだ。お前の妹になるんだ。」

「ソラ…?いもうと…?」

「そうだ、ソラは、お前の妹の名前だ。今日から、お前は、ソラのお兄ちゃんになるんだ。」

「ソラのおにいちゃん?おいちゃんと、いっしょ?」

"おいちゃん"とは、ミナムのこと。

「おいちゃんは、ママのお兄ちゃんなんだ。ユエ、妹は、大変だぞ。困ったりすると、泣きながら、『お兄ちゃ~ん!!』って、すぐ、呼ぶんだ。でも、妹は、可愛いぞ。これから、ユエも、おいちゃんみたいに、ソラを守らないとな。ユエは、ソラにとって、ヒーローなんだから」

「ヒーローって、つおい?」

「あぁ、もちろん。」

ミナムが、ニヤリと笑いながら、ユエの頭をガシガシ撫でる。

"オギャア…!!"

「おっ、生まれたな。おめでとう。テギョン、とりあえず、みんなに知らせてくるな」

「あぁ」

「お兄ちゃん、頑張れよ」

ミナムが、ギュッと拳を握ると、ユエの前に突き出すと、ユエも、小さな拳を合わせた。

「おめでとうございます。母子共に健康。元気な女の子ですよ。」

分娩室から出てきた保育器の中には、元気に泣いているソラが中に入っていた。

「ユエ、ソラだ」

「ちっちゃいねぇ」

ソラは、そのまま、新生児室へと入っていく。

病室で待っていると、ミニョが戻ってきた。

「ミニョ、大丈夫か、頑張ったな」

「ママ、ソラ、みたよ」

「ソラ?」

「あぁ、子どもの名前だ。ソラ、日本語では、"ハヌル"と同じ意味を持つんだ。ユエが、月だからな。沖縄で見た、青空を思い出したんだ。あの空のように、キレイで澄みきった心の持ち主になるように。あとは、ドレミのソラ。やっぱり、音と共に、オレたちは、生きているからな」

「良い名前ですね」

トントンとドアがノックされ、キレイに洗ってもらったソラが、ナースに抱かれ、入ってくる。
ミニョは、ナースから、ソラを受けとる。
スヤスヤ、眠っているソラを見ながら、ミニョが、優しく微笑んだ。

「こんにちわ、ソラ」

こうして、ファン家に、新たな家族が増えたのである。



★☆★☆

無事に、生まれました。
名前は、「ファン・ソラ」です。わかりやすい名前にしました。
ユエとソラ。
ふたりの子どもの成長を、温かく、見守ってくださいね。
もう少しだけ、「happiness」を続けて、エピソードを書きたいと思います。