「happiness」

「life」

*6*


テギョンたちが、スーパーから戻ってくると、屋上に上がり、飾り付けをはじめる。

ミニョは、キッチンで、ワカメスープを作っている。もちろん、ゴマは、抜いてある。

屋上では、すでに、バーベキューグリルで、串焼きを焼きはじめていた。
肉が焼ける、香ばしい匂いが漂っている。

出来上がったワカメスープを屋上へと運び、ユエのお誕生日パーティーがはじまる。

なぜか、司会は、ジェルミ。合宿所から持ってきたのか、スターたちのパネルが並び、モノマネをしている。

「ジェルミ、ずっと、やってますよね、この、モノマネ。」

何度も見ているハズなのに、ミニョだけは、クスクス笑っている。
ユエは、ポカンと口を開けて、ジェルミを見ているし、見慣れた大人は、しらけていた。

「さぁ、ユエの大好きなアイスだよ!!」

アイス屋で買った、雪だるまの形をしたアイスケーキが、ユエの前に置かれる。雪だるまの頭には、3本のローソクが。

「さぁ、みんなで、バースデーソングを歌うよ!!」

"センイル、チュッカへ♪"

A.N.JELLによる豪華なバースデーソングを歌ってもらい、ユエは、ニコニコ嬉しそうに笑っている。

「ユエ、ローソクの火を消して。」

ユエが、思いっきり、フーと息を吹き掛け、ローソクの火を消した。

「おめでとう!!」

パンパン鳴り響くクラッカーの音と拍手。

「さぁ、食べよう!!お腹、空いた」

ワイワイ、ガヤガヤと、楽しい食事の時間。

お腹も満たされた頃、ユエが、眠そうな顔をしてきたため、パーティーは終わりを迎えていた。

「じゃあ、最後に、プレゼント」

シヌからは、アメリカの有名なイヌの絵本。

「ありがとう、シヌヒョン」

ジェルミとミナムからは、ブロック。

「ありがとう、おいたん(おじちゃん)とジェルミ」

「パパから、コレだ」

それは、少し古びたレコードだった。

「なぁに?コレ」

「コレは、パパのパパ…つまり、お前のおじいちゃんから、昔、パパが、ユエぐらいの年齢のときに貰った、最初のレコードなんだ。コレを、ユエにやる。パパの大事な宝物だ。」

「ありがとう、パパ」

「ユエ」

ミニョが、ユエを呼ぶと、ユエの前で屈んだ。
ミニョが、ユエと顔を合わせると、ニッコリ微笑んで、ユエの髪を優しく、何度も撫でる。

後ろで、静かに、ふたりを見守る4人。

ミナム「あぁ、院長さまのアレだな」

ミナムが、懐かしそうに、ふたりを見ている。

ギュッと、ユエを抱き締めるミニョ。
トントン…ユエの背中を優しく叩く。

「ユエ、お誕生日、おめでとう。今日は、アナタが、生まれた、とっても、大切な日よ。生まれてきてくれて、本当に、ありがとう。ママは、アナタがいてくれて、とっても、幸せよ。アナタは、私の大事な宝物。愛してるわ」

ミニョが、ユエの額に、キスをする。

「ママ、ボクも、だいしゅき」

ユエも、ギュッと、ミニョに抱きつく。

もう一度、ミニョは、ユエの背中をトントンする。

「さぁ、ユエ、もう、寝ようか。今、寝たら、きっと、いい夢が見られるわよ。みんなに、"おやすみ"の挨拶を言おうね」

「おやしゅみなしゃい」

ユエが、ペコリと頭を下げた。ミニョは、ユエを抱っこする。

「ミニョ、大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。」

「…でも、やっぱり、危ない。代わる!!」

テギョンがユエを抱き上げると、階段を下りた。

「あの、ユエを寝かしつけて来ますので、後で片付けます。」

「いいよ、ミニョ。やっておくから。無理しないで。大事なカラダなんだろ?」

シヌが、優しく微笑むと、片付けをはじめた。

「そうそう、お腹の赤ちゃん、大事にしないとね」

ジェルミも、片付けをはじめている。

「ミナム、飲んでないで、片付け、手伝えよ!!」

ジェルミが、何もしない、ミナムにブーブー言っている。

「ありがとうございます、みなさん。」

ミニョが、お腹を擦りながら、ニコッと笑うと、頭を下げると、下に降りた。


ファン・ユエ…3歳。
両親に、たくさんの愛情をもらい、大人たちに見守られながら、日々、逞しく成長中。



☆★★☆

お誕生日と言えば、ワカメスープと、ミニョがテギョンにした院長さまの"アレ"ですよね。
ミニョの深い愛情を感じてもらえれば、嬉しいです。