「Honey moon」
*19*
「treasure」
テギョンによって、いくつも付けられた"しるし"を隠すため、ワンコーディーに買ってもらった、シフォン素材の踝(くるぶし)まである、花柄のマキシ丈のワンピースを着て、隠したミニョ。
上着は、テギョンが着ていた薄手の白いパーカーを羽織っている。
少しミニョには、ブカブカだったが、手首まで、余裕に隠れるから、好都合だった。
ふたりは、リゾートホテルを後にした。
空港に行く前に、おみやげ屋に入った。
「わぁ…キレイ」
ミニョが、手にとって見ていたのは、琉球ガラス。
キラキラと光を浴びて輝いている。
「おっ、いいな」
テギョンが、ミニョの隣で、琉球ガラスで出来たグラスを手にとった。
ふたりで、一緒に、おみやげを選ぶ。
韓国では、ゆっくり、ふたりで買いものすることなんか、出来やしない。
でも、異国の地だからこそ出来る、一般人には当たり前だけど、テギョンたちにとっては、特別なこと。
ふたりは、お揃いの琉球ガラスのグラスを買った。
テギョンは、グリーンで、ミニョは、ピンク。
また、ふたりの大事な宝物が増えていく。
空港に着くと、他のメンバーと合流する。
「ミニョー!!」
ジェルミが、ミニョを見つけると、ブンブン手を振っている。
なんとなく、他のメンバーと、顔を合わせづらいミニョが、恥ずかしそうに、俯いている。
ミニョの仕草を見れば、一目瞭然のシヌ、ミナム、ワンコーディーが、テギョンを意味ありげに見ている。
「何、見てるんだよ!!」
テギョンが、不機嫌そうに、口を尖らす。
「行くぞ!!」
ミニョの手を引きながら、搭乗口に向かうテギョン。
帰りの飛行機は、もちろん、テギョンとミニョは、隣の席。
ふたりで頭をくっつけるようにして、眠っている。
「…フフ…幸せそうね、ふたりとも…」
ワンコーディーが、ふたりの繋がった手を見つめながら、微笑んだ。
そして、韓国。
ミニョは、ワンコーディーと一緒に、A.N.JELLとは違う一般ゲートへ。
迎えるたくさんのファンやマスコミから避けるため、テギョンが配慮した。
そして、また、忙しい日常へと戻っていく。
後日、テギョン宅に、ある小包が届く。
差出人は、ジェルミ。
「なんだろ?コレ」
ジェルミに電話をする、ミニョ。
「あっ、ミニョ、荷物、届いた?」
「届いたけど、なんですか?コレ…」
「シーサーだよ。オレが作ったの。上手に出来たでしょ?沖縄では、シーサーは、守り神なんだって。ホントは、屋根に置くらしいんだけどさ、家に飾ってよ。」
「ありがとう…ジェルミ」
ミニョは、早速、シーサーを玄関棚に置くことにした。
「なんだ、コレ?ブサイクだな…」
テギョンが、家に帰ってくると、玄関に置いてある、ヘンな置物に気付く。
「おかえりなさい。コレ、ジェルミの沖縄のおみやげなんですよ。守り神なんです。」
ジェルミのシーサーに見守られながら、テギョンとミニョに、新しい家族が増えるのは、もう少し先のことである……。
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これにて、「新婚旅行」編はおしまいです。
あと、一話、エピローグがありますので、そちらも、どうぞ、お願いします。