「Honey moon」

*15*

「ずっと、アナタのそばに…」


そのあと、ふたりで、手を繋ぎながら、ゆっくりと、水族館の中を、見て回った。
カラフルな熱帯魚やサンゴ、ウミガメなど、時折、足を止めては、水槽の中を覗いた。

ミニョが、楽しそうに笑って、水槽の魚たちを見ている。

"連れてきて…よかった…"

テギョンは、ミニョの横顔を見つめながら、ホッと安堵していた。

遅めの昼食をレストランで食べ、ふたりは、水族館を出た。

海洋博公園内を散歩しながら、ふたりは、コーラルサンドのビーチへとたどり着いた。

「懐かしいなぁ…」

ココは、シヌとジェルミと来たことがあった場所だった。

ミニョは、履いていたサンダルを脱ぐと、波打ち際まで、近寄った。

「キャッ!!冷たい!!」

波が打ち寄せては、ミニョの足を濡らしている。

「おい、気を付けろよ!」

テギョンが、事故多発地帯のミニョが転ばないか、心配そうに見つめている。

「一度、来たことがあるんです。シヌヒョンとジェルミと一緒に…」

波と遊んでいたミニョが、テギョンの元に戻ってくる。
自分の知らない話をされて、おのずと、テギョンの口が尖る。

「あの頃、私は、テギョンさんや皆さんから、遠くに離れようと、決意していました。お兄ちゃんが戻ることが決まったから…それに、あのこともあったから…少し距離を、置きたかったんです…。」

ミニョが、海を見つめたまま、あの頃の自分のことを話す。
テギョンは、黙って、ミニョの話に、耳を傾けていた。

「この広い海を見ていると、なんだか吸い込まれそうで……この海を越えたら、もう永遠に会えなくなるほど、遠くに行ってしまいそうな気さえもしてたんです。」

あの頃を思い出しているのか、ミニョの寂しそうな横顔。
ほんの一瞬、また、ミニョが遠くに行ってしまいそうな感覚に陥り、ハッとして、テギョンは、ミニョの手を、ギュッと力強く握った。

「でも、ジェルミが言ったんです。『地球は丸いから、どれだけ遠くに行っても、また、最後は、循環バスみたいに、元の場所に戻って来れる』と…。そのコトバを信じて、私は、アフリカに行きました。」

ミニョが、ニコッと微笑むと、テギョンの手を、両手で、優しく握り返した。

「…ジェルミが、言ったとおり、私は、また、オッパの場所に帰って来れました。……でも、出来れば、もう、遠くには、行きたくはありません。戻ってくることが出来ても、オッパの場所を離れたくありません。……ずっと、そばに、いてもいいですか…?」

ポロッと、まるで、真珠のような涙を流すミニョを見つめながら、テギョンは、答えの代わりに、ミニョを引き寄せると、力強く抱き締めた。

「もう、オレの許可なしで、何処にも、行くなよ。」

嬉しそうに、テギョンに抱きつきながら、ウンウン頷くミニョ。

ミニョの顎を持ち上げ、泣いているミニョの顔を上げさせる。

「……愛してる」

「…私も……愛してます」


お互いを見つめながら、どちらからともなく、引き寄せられるように、唇が重なった。

海が、オレンジ色に染まりはじめていた。



★☆☆★

一応、このハナシでは、ミニョを、アフリカに行かせてます。(半年~1年以内)
ドラマ本編の続きも、書かないといけませんよね…
( ̄▽ ̄;)
頑張んないと…。