「Honey moon」

*13*

「もう一度」


そのあと、テギョンが、真面目なハナシをして、しんみりとしていたのに、突然、ミナムが、「今日は、飲むぞ~!!全員、付き合え!!」と、グイッと、グラスにあったアルコールを飲み干す。
酒が弱いミニョのグラスにまでアルコールを注ぐミナム。
しかも、注いだ酒は、なんと、沖縄名物のアルコール度数が高いと言われる、焼酎の泡盛。
もちろん、ミニョは飲んでしまい、顔を真っ赤にしながら酔っ払い、テーブルに顔を突っ伏して寝てしまう。
寝てしまったミニョを、横目で見ながら、チッと、テギョンが舌打ちをする。

「部屋に、戻る!!」

テギョンが、口を尖らしながら、酔っ払ったミニョの腕を抱えながら、部屋に連れていく。

ミニョをベッドに寝かせると、ミニョの寝顔を見ながら、「あぁ!!!クソッ!!!」と、テギョンが苛立ちながら、シャワーを浴びた。
そして、ベッドがふたつあるにも関わらず、当たり前のように、テギョンは、ミニョの隣に滑り込む。
自分と反対側を向いて眠るミニョの細い腰に腕を回し、抱き寄せると、肩に額を押し当てる。
微かに首筋から香るミニョの匂いが、テギョンを落ち着かせ、いつの間にか、眠りに就いていた。


翌朝、テギョンが起きても、ミニョは、まだ、夢の中にいた。
テギョンは、ベッドから起き上がり、身支度を済ませ、まだ寝ているミニョの身体を、優しく、揺り起こした。

「ミニョ、起きろ…」

「…ん」

ミニョの身体が身動ぎ、目を瞬かせ、テギョンを見る。

「…おはよう…ございます」

「おい、早く起きて、支度しろ。出かけるぞ…」

テギョンに、急かされながら、ミニョが、モゾモゾとベッドから起き上がった。
まだ眠っている身体を起こすため、ミニョは、シャワーを浴びた。

「荷物も、まとめろよ」

テギョンの一言に、首を傾げるミニョ。

テギョンに言われたとおり、荷物をまとめ、身支度も済ませる。

「よし、行くぞ」

テギョンも、自分の荷物を持つと、ふたりは、部屋を後にした。
フロントで、鍵を返し、マ室長に、メモを渡すように、伝言を残し、ふたりは、タクシーに乗った。
テギョンが、行き先を告げると、タクシーが動き出す。

「どこに、行くんですか?」

「行けば、わかる」

先に、着いた場所は、海が一望できる、リゾートホテルだった。
テギョンが、密かに、事前に予約をしていたホテルだった。
フロントで、チェックインを済ませ、荷物を預けた。

もう一度、タクシーに乗り、着いた場所は…。

「…ココは…」

目の前にある建物を見ているミニョの声と手が、微かに震えている。

「…あぁ…水族館だ。もう一度、お前と来たかった場所だ…」

テギョンは、震えているミニョの手を、ギュッと握りしめた。



☆★★☆

テギョンが、行きたかった場所…『水族館』でした。水族館で、ふたりの思いは、スレ違ってしまいましたからね…。
テギョンとミニョにとって、心残りがあると思う場所…。

さぁ、ツラい思い出を、新しい思い出に、塗り替えましょうか、おふたりさん…。