「Honey moon」
*12*
「キミの幸せを祈って…」
ふたりだけの時間を、ミナムに邪魔をされ、口を尖らし、不機嫌そうに、テギョンが、ミニョの手を引きながら、渋々と、部屋から出てくる。
ニヒヒ…と、悪魔のような笑みを浮かべたミナムと、その後ろにはシヌ、そのまた後ろには、隠れているジェルミが、ドアの前に立っていた。
テギョンは、チッと舌打ちをすると、ミニョの手を引いたまま、ミナムたちを無視して歩いている。
晩ごはんは、マ室長、ワンコーディーも入れて、全員で、ホテル内のレストランで食べることになった。
バイキングスタイルで、和洋中から沖縄の郷土料理まで、デザートには、スイーツやフルーツもある。
たくさんの料理に、目移りしながら、お皿に、料理を盛っていく。
「あんまり、食べすぎるなよ!!」
テギョンが、お皿に盛りきれないほどに料理を盛ろうとしている、ミニョに注意をすると、ミニョが、プクッと頬を膨らましながら、テギョンのお皿を見る。
「オッパは、好き嫌いしないで、ニンジンもホウレン草も、ちゃんと食べてくださいね。」
ミニョに注意され、口を尖らすテギョン。
一度、全員で、テーブルに集まると、マ室長が立ち上がり、咳払いをひとつすると、コップを掲げ、「カンパイ!!」と、大声で言うが、すでに、マ室長以外は、乾杯をして、食べはじめていた…。
「やっぱり、楽しいね!!前、沖縄に来たときは、色々な思いとかがあったかもしれないけどさ…。今は、前、来れなかった、ミナムだっている。ミニョだって、また、沖縄に、来たんだよ。みんなで、また、来れて、ホント、嬉しいよ!!」
ジェルミが、嬉しそうに、ニコニコしながら、隣にいたミナムの肩を組んだ。
シヌ「明日は、どうする?」
ミナム「やっぱり、海!!潜りたい!!」
ジェルミ「お土産、買いたい!!あと、シーサーだっけ?あれ、作ってみたい!!」
はしゃぐ3人をよそに、テギョンは、ひとり、思い詰めた顔をしている。心配そうに、テギョンを見つめるミニョ。
テギョン「コイツと、ふたりだけで、行きたい場所がある…」
テギョンが、真摯な目で、ミニョを見つめている。
「行かせてほしいんだ…ふたりだけで…」
なんとなく、テギョンの気持ちがわかる、シヌとジェルミは、何も言わず、ただ、頷いた。
あのとき、ミニョとテギョンとの間に、何かが、起きていたことを、ふたりは、どことなく、わかっていた。
ミニョが、辛くても、泣きそうな顔を、必死で、無理矢理、笑顔で隠していたことを、ふたりは、よく知っている。
テギョンが、ミニョを連れ戻そうと、沖縄に、再度、行ったのに、ミニョを、日本に置いたまま、韓国へと、戻ってきたことも…。
そのあとのテギョンの様子も、近くで見ていたふたり。
そして、一度、離れても、また、運命の糸を手繰り寄せるように繋がった、テギョンとミニョ。
そして、ミニョは、テギョンの愛する妻になった。
ミニョを幸せにしたいのは、テギョン、ひとりだけじゃない…。
ふたりは、今でも、ずっと、ミニョの幸せを祈っている。もちろん、テギョンの幸せも…。
「行っておいでよ」
「行ってこい」
ふたりは頷いたあと、テギョンとミニョに、笑顔で言った。
★☆☆★
ずっと、ふたりを見守っていましたからね、シヌとジェルミは…。
ふたりの恋は、残念ながら、叶いませんでしたが、ミニョを思う気持ちは、ずっとあると思うんです。
恋というカタチを変えて、愛情みたいな、特別な思いが…。
テギョンの行きたい場所は、次回、わかります。
ハナシが、テギョンとミニョ、ふたりだけになっていきますので…。
ちょっと、コメディーからシリアスになるかもしれませんが、どうぞ、最後まで、お楽しみくださいませ。