「Honey moon」

*9*

「プール」


テギョンは、驚いたように、棒立ちのまま、目を丸くさせながら、ミニョの水着姿を見ていた。

透き通るような白い肌は、日差しを浴びて、一層、白さを増して、輝いているようにも見える。

身体のラインが出たり、肌を露出するような格好はせず、いつも、控え目な格好をしているミニョ。
その、ミニョが、いつもより、大胆な"ビキニ"を着ているため、いつもは、隠されている、女性らしいラインが、いつも以上に、際立って見えた。

"しかも、ビキニなんて、下着姿を晒しているのと、一緒じゃないか!!?しかも、お前、"人妻"なんだぞ!!オレの…夫の許可が必要だろ!!"

テギョンが不機嫌そうに、口が尖らせる。

「ミニョ、超、カワイイよぉ!!」

デレデレと鼻の下を伸ばしたジェルミが、両手を広げながら、ミニョへと向かっていく。

が、

「天誅!!」

ジェルミは、ミナムによって、プールへと蹴落とされた。

「ミニョ、こっち、おいで」

シヌが、すかさず、ミニョをパラソルの下へと連れていく。

「ミニョ、とっても、似合ってるよ」

ニッコリ微笑むシヌ。

テギョン、ひとりだけ出遅れ、しかも、ミニョをシヌにとられてしまい、また、口を尖らしていた。

ミニョは、プールサイドに座ると、足をプールの中へ入れた。

「冷たい!!」

バシャバシャと水しぶきをあげながら足を動かしていると、

「ミニョ!!」

近くで、泳いでたミナムに手を差し出され、キョトンとした顔をしながらも、ミナムへと手を伸ばすと、ミナムが、いたずらっ子のような笑みを見せた。

「キャッ!!」

バシャンと、大きな水しぶきをあげ、ミニョがプールへと落ちる。

「もう!!お兄ちゃん!!何、すんの!!!」

プクッと頬を膨らませるミニョ。子どもみたいに笑うミナム。
ミニョが仕返しとばかり、ミナムの顔に水をかける。

「やったな!!」

双子が子どものようにジャレはじめると、ジェルミも参戦しはじめる。

三人の楽しそうな声に、シヌも、プールへと入っていく。が、テギョンは、未だに、パラソルの下から、一歩も出てこない。

「ねぇ、プールって言えばさ…」

ジェルミが、何かを思い出す。

「あぁ、ミュージックビデオ撮ったとき、テギョンが、溺れたな…」

クスクス笑い出すシヌ。

「あぁ…だから、泳げないんだぁ…」

ウンウン頷きながら、納得するミナム。

テギョンが、鼻息荒く、ズカズカとプールサイドへとやって来る。

「オレは、泳げる!!が、日焼けしたくないんだ!!それに、元凶は、コイツだ!!」

ミニョを指差すテギョン。

「あぁ…すみません…でした」

ペコリと謝るミニョ。

「あの…色々と…理由があるんですけど、実は、ヒョンニムに助けていただいたらしいんですけど、なんか、立場が逆転しちゃって…私が、助けたことになっちゃって…」

モジモジと、あのときを思い出しながら話す、ミニョ。

「ファン・テギョンssi、それはそれは、妹を助けていただき、どうも、ありがとう」

ミナムが、また、いたずらっ子のように笑うと、テギョンの腕をグイっと引っ張った。

「うわっ!?」

テギョン、パーカーとサングラスをつけたまま、プールの中へ…。

「ギャーハッハ!!」

プールに落ちたテギョンを、悪魔のように笑っているミナム。

「コ・ミナム!!!」

テギョンの、怒鳴り声が、大空に、響き渡った。



★☆☆★

プールと言えば、ミュージックビデオのシーンがありましたからね(笑)

ミナム、いたずらっ子ですから、誰でも落とす。それが、カワイイ妹でも、皇帝でも…。
ジェルミに至っては、鼻の下を伸ばして、デレデレしていたので、手荒な蹴落としです。(大変、危険なんで、皆さまは、マネしないでくださいね)