「Honey moon」

*6*

「空港」


ファンミーティングも、大盛況のうちに、終了した。
夜に、お世話になった日本人スタッフたちと一緒に、打ち上げパーティーをした。深夜まで、盛り上がったパーティーも終わり、夜が明けた。
ついに、待望の2日間のオフが、はじまる…。

テギョンは、打ち上げパーティーのあと、すぐに、ホテルの部屋に戻り、ベッドに入ったが、眠れぬ夜を過ごすことになった。
何度も、何度も、目が覚めてしまい、ベッドサイドにある時計を見ては、ため息を吐いては、また、浅い眠りに就くの繰り返し…。

今日、ミニョが、沖縄に来る日でもあった。

"果たして、ミニョは、もう一度、沖縄に、来てくれるだろうか…。"

テギョンには、拭いきれない不安があった。

予定では、ミニョは、昼過ぎの便で、空港に着く。
それに、間に合うように、テギョンは、仕度を整えると、タクシーに乗り、空港へと向かう。

サングラスを外さずに、腕時計を見ると、まだ、ミニョが着くまで、余裕の時間があった。
ベンチに座ると、気を紛らすためか、ポケットから、音楽プレイヤーを取り出すと、耳にイヤフォンを付けた。そして、飛行機が着くのを、待つ。

時計の針が、まるで、スローモーションのように、ゆっくりと進んでいく。

テギョンは、ただ静かに、そのときを、待つ。

アナウンスが流れ、顔を上げる。
入国ゲートに向かい、ミニョが出てくるのを、待つ。
次々に、人が出てくるが、探しても、ミニョの姿は、ない。

"やっぱり、イヤだったのか…?"

テギョンらしくない、弱気なコトバしか出てこない…。
テギョンが、半ば、諦めたように、俯いてしまう。

「…オッパ!!」

テギョンの耳に、聞き慣れた声が聞こえ、顔を上げた。

一番、最後に現れた、ミニョの姿に、テギョンの口元が、綻んでいく。

「遅くなって、すみません…あの…荷物が、見つからなくて…」

テギョンの前に立ち、ペコリと頭を下げ、謝るミニョ。

テギョンは、何も言わず、ミニョを引き寄せると、力強く、ギュッと抱き締めた。

「…オッパ。人が見てます…」

恥ずかしそうに、テギョンの胸に、顔を埋めるミニョ。

「もう少し、このままで…」

テギョンは、ミニョの耳元で囁くと、ミニョの肩に、顔を埋めた。

抱き締めたミニョのぬくもりは、テギョンが感じていた不安さえもなくなってしまうほどの、安心感を与えた。
テギョンが、自然と頬を緩ませ、喜んでいる。

「…ミニョ」

テギョンが、ミニョの肩から、顔を上げると、ミニョを見つめた。

「…待ってた。来てくれて、嬉しい…」

テギョンが、素直に言葉で言うと、ミニョの頬が、紅く染まり、目を潤ませ、テギョンを見つめる。

ゆっくりと近付いてくる、テギョンの顔に、自然と目を閉じるミニョ。

近づいていく、ふたりの唇………

突然、ふたりの周りが、ザワザワと騒がしくなりはじめる。

「えぇ…皆さま、『ままじ観光』で、ございます!!今、話題の、やさぐれパンダの"テンテン"と、最近、"テンテン"の元に、お嫁にやって来た、"超ド天然記念物"パンダの"ミニョミニョ" の見学ツアー参加の皆さまは、どうぞ、こちらへ!!」

突如、現れた、三角旗を持った、『ままじ観光』のツアコンさんと観光客の皆さま。

ふたりとも、向き合ったまま、呆気にとられてしまう。

「あっ…すみません。どうぞ、続けてください」

なぜか、顔を真っ赤にしながら、ふたりに、頭をペコペコ下げながら、ツアコンさんが、まるで、嵐のように、その場から去っていく。

いい雰囲気をジャマされたテギョンは、口を尖らせ、ミニョは、見られた恥ずかしさで、タコのように顔を真っ赤にさせたまま、固まっている。

こうして、テギョンとミニョのハネムーンは、まだ、はじまったばかりなので、ある……。



☆★☆☆

ままじ様、お待たせしましたぁ。なんて、オイシイ役なんでしょう…。(笑)
『テンテン』勝手に、名前を使わせていただきました。事後承諾で、すみません…
ままじ様、ご出演、ありがとうございましたぁ。
ままじ様のおかげで、楽しく書けましたよ。
☆⌒(*^∇゜)v

さぁ、テギョンの災難は、はじまったばかりです(笑)
前半は、コメディーなんで、みなさん、楽しんでくださいね。