「ゴースト・エンジェル」

*2*

「オットカジョ…」


床に踞るように、膝を抱え座って、考えていた。
気が付いたら、朝になっていた。カーテンのすき間から、太陽の光が、射し込んでいる。
テギョンさんが、寝ているベッドの方を見ると、とても静かだった。深く寝入っているようで、まだ起きる気配もなかった。

そういえば、暗くて、テギョンさんの顔を、ハッキリと、見てないな…

そう思って、静かに、テギョンさんに近付いてみる。
そーっと、顔を近付けて、寝顔を見てみる。

目鼻立ちがスッキリとした端正な顔立ちは…まるで、大理石で出来た彫刻の銅像みたいだった。

"キレイな男の人…"

思わず、息をのんで、テギョンさんの寝顔を見ていると、テギョンさんの長いまつ毛が、微かに揺れた。

「ん…」

テギョンさんが、少し身を捩るよう寝返りをして、こちらを向いた。

パチパチと瞬きを繰り返すテギョンさん。
まだ、眠たそうな目は、焦点が合っていないようだ。
その仕草が、少し可笑しくて、私は、クスクス笑ってしまう。

「うわっ!!!!」

突然、テギョンさんが、大声をあげ、飛び起きた。
そのまま、ベッドを、ズルズルと後退りするテギョンさん。

「やっぱり、いた…。これは、幻覚なんかじゃない…」

ブルブルと身体を震わせ、テギョンさんは、私を見ていた。

「お前、一体、誰なんだ…?」

「………」

名前を言おうと、声を出そうとしても、声が出なかった。

私の口は、喋ることを、忘れてしまったようだ…。

テギョンさんが、口を尖らしながら、訝しげに私を見ていた。

私は、声を失ってしまい、伝えることも出来ずに、どうしようもなく、ただ、俯くしかなかった。



★☆☆★

ミニョが、また「人魚姫」みたいな、可哀想なカンジになってますけど…。
さぁ、テギョンさん、どうする…?