イケメン版

「三銃士」

*66*(後編)




テギョンが、向かった先は、墓地でした。

ジウォンの墓に、たどり着くと、花が供えられてあり、テギョンは驚きます。

ピンク色の小さな花…それは、かすみ草の花束でした。

"ジェシンは、まだ、傷が癒えてないはず…一体、誰が…?"

ピンク色の小さな花が、テギョンに、誰かを思い起こさせるように、まだ、キレイに咲き誇っています。

「…まさか」

テギョンが、辺りを見回しますが、それらしき人物の姿はありません。

突然、ふわっと、風が、テギョンの頬を撫でるように吹いてきます。

温かくて、どこか優しい風…。

テギョンが、天を仰ぎます。

「…ジウォン」

小さな声で呟くテギョン。

もう一度、テギョンの背中を押すように風が吹きます。

"いつまで、意地を張ってるの…?
アナタは、今を、生きてるのよ…。
過去の"しがらみ"なんかに、ずっと、捕らわれていないで、前を向くのよ…"

テギョンが目を閉じると、一筋の涙が、頬を伝います。

「ありがとう…ジウォン」

テギョンが、ふと微笑むと、確かな足どりで、墓地を後にします。

テギョンは、墓地と隣接している教会を訪れます。

大きな十字架の前で、祈りを捧げている女性の後ろ姿に、テギョンは、見覚えがありました。

コツ…コツ…コツ…

静寂な礼拝堂に、テギョンの足音が響きます。

女性は、足音に気付き、祈りを捧げるのをやめます。
テギョンが、歩みを止めると、ゆっくりと、振り向く女性。

女性は、テギョンの顔を見ると、驚きで、目を丸くしています。
そして、忙しなくキョロキョロ動き出す目。
テギョンが、女性の顔を見ると、クスリと笑います。
笑われたことにより、今度は、顔を真っ赤にして、俯いてしまいます。

テギョンが、ひとつ咳払いをします。

「…コ・ミナム」

「…はい」

小さな声で返事をするミニョ。
しかし、テギョンが、首を傾げてしまいます。
今は、男装ではなく、元の女性の姿のミニョ。

「…おい!!お前、名前は?」

「あっ…はい?」

突然、名前を聞かれて、素っ頓狂な声を出すミニョ。

「お前の…本当の…名前」

「あぁ…コ・ミニョです」

テギョンが、また、緊張を隠すように、咳払いをします。

「…コ・ミニョ」

「はい」

テギョンが、ニコッと微笑みます。
そして、ミニョへと歩みを進めます。
突然、近寄ってくるテギョンに驚いて、ミニョは、後退りをしますが、すでに、行き止まりまで、追い込まれていました。

意地悪そうに、ニヤッと笑うテギョン。

ミニョは、目をギュッと閉じると、身体を固くしたまま、テギョンの次の行動を待ちます。

テギョンは、ゆっくりとミニョへと顔を近付けると、そっと、唇に口づけをしました。

柔らかい唇の感触に、ミニョが驚いて、目を開けます。
テギョンが、唇だけを離すと、ミニョを見つめます。
何が、起きたか…事情がのみ込めていないミニョが、何度も、瞬きを繰り返しています。

そんなミニョに、テギョンは苦笑いをしながらも、ミニョの身体を抱き寄せます。
そして、ゆっくりと、ミニョの耳元に唇を近付けます。

「…つかまえたぞ。残念ながら、もう、オレから二度と逃げれないからな。覚悟しろよ…」

テギョンが、また意地悪そうに、ニヤッと笑います。

何度も、パチパチ瞬きをしたままのミニョ。

小さな、小さな声でテギョンが、ミニョの耳元で、"ある言葉"を囁きます。

ミニョが驚きながらも、頬を赤く染めながら、嬉しそうに、笑います。

教会の外は、綺麗な夕焼けの茜空が広がっていました。



★おわり★


☆★☆★

これにて、完結です!!!

読んでいただき、本当にありがとうございました。

わぁーい!!!やっと、終わったぁぁぁぁ!!!
ヾ(〃^∇^)ノ

後書きは、また『つぶやき』にて更新させていただきますので…。