イケメン版

「三銃士」

*63*




テギョンは、女王の間にたどり着きます。
目の前にある、頑丈な扉を慎重に開けます。
王座にいるはずのファラン女王の姿は、すでになく、中は、異様なほどに、静まりかえっていました。

「テギョン!!」
「兄貴!!」

テギョンを呼ぶシヌとジェルミの声が、室内に響きます。

「ファラン女王の姿が、何処にもないが、"とんずら"でもしたのか?」

シヌが、辺りを気にしながら、言います。

「まさか、ダイヤの首飾りを持ったまま…?」

ジェルミが、オロオロしながら、口に手を当てます。

「…ダイヤの首飾りは、この部屋の奥だ。とにかく、探し出すぞ!!」

テギョンは、辺りを見回すと、色々な場所を探しはじめます。

「テギョン、その話、誰に聞いたんだ…?」

シヌに聞かれ、テギョンは咳払いをします。

「…コ・ミナムだ…ホンモノの…」

「えぇぇぇ!!??じゃぁ、オレの知ってるコ・ミナムは、一体、誰なのさ?」

ジェルミが、驚きで、目を丸くしながら、テギョンに聞き返します。

「…アイツは、コ・ミナムの双子の妹だ」

シヌは、自分しか知らない秘密が、バレてしまったような気分で、とても小さなため息をつきました。

「い、い、妹!!??って言うことは、女なの!!??女だなんて、知らなかった…シヌ兄貴は、知ってた…?」
シヌは、意味有り気な笑顔を見せます。

「えぇぇぇ…知らないのは、オレだけだったの…」

ジェルミは、ショックで、自分の頬を両手で挟んだまま、しばし、固まっています。
口を嘴のように尖らしているジェルミを放ったまま、シヌが、テギョンに聞きます。

「で、妹の方は…見つかったのか?」

「いや、コ・ミナムに頼んだ。きっと、大丈夫だ。オレたちには、オレたちがやらないといけないことがあるだろ…」

テギョンは、黙々と、首飾りを探します。

「…そうだな」

「シヌ、お前、アイツが女だって知ってたんだな…」

テギョンは、シヌの顔を見ずに、ぽつりと呟きます。

「あぁ…知っていた」

「いつから、知っていた?」

「ミナムの歓迎会のときかな…わかりやすいヤツだからな…。でも、ミナムには、女かどうか…本心は聞かなかった…健気に頑張って、男のフリをしてたからな。その姿が、可愛くて…」

シヌが、可笑しそうに、テギョンの顔色を伺います。
テギョンは、シヌの口から、"健気""カワイイ" などミナムについて聞くたび、頬がピクッと反応をしていました。

「気付かないふりをして、助けてたんだ。まぁ…オレにとっては、"カワイイ"妹みたいな存在かな…」

"妹みたいな存在"と聞いた途端、テギョンが、ハァーと安堵の息をつきます。

"なんで、あからさまに安堵してるんだ…オレは!!"

テギョンは、ハッと気付くと、口を尖らせ、すぐに、ポーカーフェイスに戻します。

"あの、テギョンの鉄面皮顔が、まるで、百面相みたいだ…コイツ、まだ、自分の気持ちに、気付いてないのか…?"

シヌは、テギョンに気付かれないように、可笑しそうに、肩を震わせ、クスクス笑ってました。



★☆☆★

鉄面皮(てつめんぴ)

…顔の皮が、鉄で出来てるかのように、あつかましくて、恥知らずなヒトのこと。

…誰かさんにそっくり★

(*`Д´)ノ!!!