イケメン版

「三銃士」

*59*




白々と夜が明けていきます。
テギョンたちは、船着き場で、夜を明かしをしました。

「おい、船が来たぞ」

一艘の船が、こちら側に向かってきます。

船が船着き場に着くと、若い船乗りが、ひとり出てくると、テギョンが、その、船乗りに話を聞きにいきます。

「おい、この船は、隣国に向かう船か?」

「あぁ、そうですけど…」

「悪いが、隣国まで乗せて行ってくれないか?」

「あの、隣国にですか?変な物好きもいるもんだな…」

「なんか、言ったか?」

テギョンが、船乗りをギロッと睨みます。

「いえ、何も…。今から、荷物を積みますので、お待ちください。」

ペコペコ頭を下げながら、準備を始める船乗り。

「出発は、早い方がいいから、手伝うよ。」

「オレも、手伝うよ!!」

シヌとジェルミは、船乗りを手伝いはじめます。

「あ、ありがとうございます。」

「隣国に何を運んでいるんだ?」

シヌが、船に、荷物を積みながら、船乗りに話を聞きます。

「薬の卸売りをしているんです。隣国では、薬が、かなり不足してるようで、たまに、隣国に行ってるんです。」

シヌとジェルミの手伝いのおかげで、すぐに、船に荷物を積み終わります。

「少し狭いですけど、どうぞ」

テギョンたちは、船に乗り込みます。

そして、船は、隣国へと向かっていきます。

そして、一方、囚われの身になってしまったミナムは、ジェシンの話に耳を傾けていました。

「前に話したことありましたよね…ジウォンのこと」

"ジウォン……ジウォン…悪かった…許してくれ…"

ふと、ミナムの脳裏に、前に聞いた、テギョンの言葉が過(よぎ)ります。
そして、とても、悲しそうで、辛そうなテギョンの顔が、ちらついて、ミナムは、キュッと、胸が苦しくなるのを感じます。

ジェシンは、思い出すのが、辛いとでも言うように、苦痛の顔を浮かべると、天井を見つめています。

「ジウォンを…ジウォンを…殺したのは……テギョンなんです。テギョンが直接、手を加えて…殺したというわけではないのですが…テギョンが…彼女を殺したと、言っても、おかしくないくらいで…テギョンは、彼女を、追いつめ、苦しめたんです…」

ジェシンが、悔しそうに涙を流し、流れた涙を、乱暴に拭います。

「私は…オレは…テギョンを許さない!!オレの大事なヒトを、アイツが奪ったんだから!!!今日、これで、やっと、決着がつきます。」

ジェシンが、ふと笑みを浮かべますが、ミナムは、全身が、わなわなと震えて、立っていることさえままなりません。

「大丈夫。心配しないでください。アナタに、手出しはしませんから。戦が終わったら、解放します。それまで、お待ちを…」

ジェシンは、そう言うと、踵を返し、階段を上っていきます。

ミナムは、崩れ落ちるように座り込むと、膝を抱えます。
ジェシンの笑顔を思い出す度に、おぞましい気分になり、身体が震えてきます。

"テギョンさんが…危ないのに…助けたいのに…どうしようも出来ないなんて…早く、ココから出たい…自分だけ助かるのもイヤ…なんにも、役に立たないかもしれないけど…テギョンさんのそばにいたいんです…アナタを信じています…そう伝えたい…テギョンさんの、あの、悲しそうな顔は、きっとウソじゃないような気がする…テギョンさんは、十分、今でも苦しんでいるから…だから、もう、自分を許してあげてほしいんです…"


光さえも届かない、暗い地下牢で、ミナムは、テギョンの光を見つけようとしていました。


★☆★☆

若い船乗り(薬の卸商人)誰だかわかります?

6月で終わるはずの「三銃士」ですが、終われません。無理です。7月まで持ち越しますので、ご了承を。

ちなみに、ワタクシ、かぜっぴきに引き続き、今度は、ヤケドをして、踏んだり蹴ったりで、泣いてます…グス…グス…
・゜・(つД`)・゜・