イケメン版

「三銃士」

*58*




いつまで経っても、ミナムが戻ってこないことに、テギョンたちは、気付きはじめました。

「おかしいなぁ?ミナムが、戻ってこないね。大丈夫かなぁ?」

ジェルミが、食事を平らげて、いっぱいになった腹を擦りながら、キョロキョロ見回しています。

「…そうだな。様子見に行くか」

シヌが、席から立ち上がり、外へ出て行きます。

「運動ついでに、オレも見てくるね」

ジェルミも、席から立ち上がり、シヌを追っていきます。

テギョンは、ひとり、席に座ったまま、口を尖らしていました。

「別に、放っておいても、そのうち、戻ってくるさ。それに、アイツらが連れてくるだろうから、オレは、行かない…」

クイクイと尖った口を左右に動かすテギョン。
テーブルの下で組んでいる脚は、トントン…と細かく地面を叩いています。

待っても、待っても、ふたりが戻る気配は、ありません。

テギョンは、やっと腰を上げると、外へと向かいました。

真っ暗で、ほとんど見えない外に、テギョンは、焦りを感じます。

「コ・ミナムのヤツ、どこに、消えたんだ?」

時折、聞こえてくる波音だけを頼りに、テギョンは、歩みを進ませます。

「あっ、テギョン兄貴!!」

息を弾ませながら、ジェルミが、テギョンの元にやってきます。

「見つかったのか…?」

首を横に振るジェルミ。

シヌも、テギョンたちに気付き、走ってきます。

「見つかったか?」

少し息を切らしているシヌの顔にも焦りの色が出ています。

「ううん、ダメ。どこにもいない…」

ハァーと大きなため息を吐くジェルミ。

「ヤバイことになったな…これだと、隣国に捕まってる可能性もある。たぶん、隣国でも、オレたちのことを警戒しているに違いない。」

シヌが、高い塀の奥に見えるファランの城を見据えています。

「夜明けを待たないと、船が出ないじゃん!!どうするのさぁ?」

焦ったように、オロオロしているジェルミ。

「とにかく、船が出る夜明けまで待つ!!」

テギョンが、それだけ言うと、ふたりから離れてしまいます。

テギョンは、唇を噛み締めると、拳を強く握りしめます。

"勝手な行動ばかりしやがって…オレに、どれだけの面倒を増やせば、気が済むんだ?お前が、オレから離れたら、守れなくなるだろ?"

テギョンは、焦燥感を抱きながら、黒い海を見ていました。



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