イケメン版
「三銃士」
*54*
ミナムは、テギョンの寝顔を見つめながら、いつの間にか、眠りについていました。
テギョンが、目を覚ますと、まだ眠りについているミナムの寝顔が見えます。
"…泣いてるのか?"
ミナムの頬には、長く引かれた涙の跡が、まだ、残っていました。
そっと、手を伸ばし、ミナムの頬に触れ、涙を拭うテギョン。
自分でも思ってもいない行動に、ハッとして、テギョンは、咄嗟に、手を離します。
触れてしまった、柔らかいミナムの頬の感触が、まだ指に、残っています。
胸の奥から、湧き起こる、どうしようもない感情に、テギョンが、拒否をするように、首を横に振り、感情を追い払います。
ミナムの顔を、見てもいれなく、テギョンは、シャワー室に入ってしまいます。
ガチャンと、ドアが閉まる音で、ミナムが目を覚まします。
ベッドに、テギョンの姿はないのに気付き、ミナムは身体を起こします。
シャワーの水が落ちる音が聞こえ、ミナムは、テギョンがシャワー室にいることに気付き、ミナムは、テギョンと、顔も合わせることが出来ず、静かに、部屋を出ていきました。
ミナムが、食堂に入ると、すでに、シヌがいました。
「おはよう、ミナム」
シヌが、ミナムを見ると、寝不足と、泣いていたせいで、ミナムの瞳は、赤くなっていました。
「おはようございます。シヌヒョン」
「よく眠れたか?」
「…はい。大丈夫です」
ウソだとわかっていても、そう答えるミナムが、いじましいと思ったシヌは、ミナムの頭を、慰めるように、クシャクシャに撫でます。
「お茶でも飲むといいよ」
シヌが、ミナムに、お茶を差し出します。
「ありがとうございます。ジェルミさんは…?」
「まだ、寝てるよ。しかも、ジェルミの寝相といびきがスゴくて、オレのベッドまで、占領してくるんだ。しかも、"いびき"がうるさい。おかげで、こっちは、寝不足だ」
シヌが、然も苦労してるんだという口調に、ミナムが、クスクス可笑しそうに笑うのを見て、シヌが、優しそうに微笑みます。
"オレは、お前の、"いい兄貴"でいるからな…"
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