イケメン版

「三銃士」

*52*

「切なくて…」


ミナムは、自分の手を掴むテギョンの手と、目の前にある、テギョンの背中を、見つめていました。

ただ、見つめているだけなのに…

ただ、手を掴まれているだけなのに…

テギョンの手から感じる、意外なほどに、優しくて、温かい、その体温に、ミナムは、鼻の奥が、ツンと痛くなり、泣きたくなるのを、必死で堪えていました。
それでも、零れ落ちてしまう涙を、テギョンに見せたくなく、ミナムは、俯きながら歩いていました。

「ほら、着いたぞ」

テギョンが、ミナムを部屋に入れると同時に、繋がれたテギョンの手が、自然と離れていきます。

「あ、ありがとうございました。」

ミナムが、俯きながら、テギョンにお礼だけを言うと、シャワー室へと、行ってしまいます。

先程まで、感じていた温もりが、突然、消えてしまい、ミナムは、胸が、ギューッと締めつけられるような痛さを感じ、その場で、崩れ落ちてしまいます。

"この、胸の痛さは、水だけじゃ、治らないわ…これが…きっと、ヒトを好きになる気持ちなんだわ…でも、どうして、こんなに、切ないんだろ…"

涙が溢れて、止まらず、ミナムは、しばしの間、その場で、踞って、声を殺して、泣いていました。

しばらくして、ミナムが、目を真っ赤にしながら、シャワー室から出てきます。

「ほら、水」

テギョンが、ミナムに、水が入ったコップを差し出します。

「ありがとうございます…」

テギョンと、顔も合わすことも出来ず、ミナムは、水を一口だけ飲むと、ベッドに横になってしまいます。
いつもと様子が違うミナムに、テギョンが、怪訝そうに、首を傾げています。

「おい、大丈夫なのか?」

少し心配そうなテギョンの声。

「…大丈夫…です。」

ミナムは、頭から布団を被ってしまいます。

布団を被ってしまったミナムに、テギョンは、ため息をつきながら、隣のベッドに腰掛けます。

「…お前、兄貴が、見つかったら、どうするんだ?」

テギョンの思ってもいないの質問に、ミナムが驚いて、肩がピクンと揺れます。

「……兄が、見つかったら、私は、故郷に帰ります。コ・ミナムは、ひとりで、十分ですから…」

"テギョンさんのそばにいたくても、私が、一緒にいることは、叶いません…。"

ミナムが、テギョンに気付かれないよう、寂しそうに、鼻を啜ります。

「…そうか。これで、本物が見つかれば、お前の世話からも解放されて、オレも精々、出来るな」

テギョンは、清々しそうに言ってみたものの、どこかで、寂しさを感じていました。



★☆☆★

ミナムが、恋に気付きました。
ドラマの時の、片思いをしているときのミナムが切なくて、切なくて…
・゜・(つД`)・゜・
特に、テギョンと星を見上げながら、「その星を、好きになっても、いいですか」 のシーンから、「言葉になく」を歌うシーンを見るたびに、「切ないのぉぉ…」と涙しております。
・゜・(つД`)・゜・

そんなシーンを思い出しながら、今回、書いてました。
( ノД`)…グス