イケメン版

「三銃士」

*50*




場所は変わり、此処は、隣国のファラン女王が住む城です。

謁見室には、真ん中の黄金に輝く椅子に座るファラン女王とその横に立つ家来のキムがいます。

そして、ファラン女王の目の前で、恭しく跪いているヘイの姿がありました。

「よく、取り返してきたわ。ヘイ。」

満足そうな笑みで、ファラン女王が、血のように真っ赤に染まった、赤ワインを片手に、"あの"ダイヤの首飾りを眺めています。

「この、ダイヤの首飾りは、私のモノだったよ…。あの男と結婚して、あの国だって、私のモノになるはずだったのに…初代・三銃士のファン・ギョンセが私の企みを見抜いて、私をあの国から追い出したのよ」

悔しそうに、唇を噛むファラン女王が、ワインを飲み干します。

「でも、あの男も、つくづく、バカね。女たらしにも、程があるわ。若くて、美しい女には、弱いのよ。あなたを遣って、正解だわ。だって、昔の私に似ているもの。」

「有り難きお言葉です」

ヘイが嬉しそうに、頭を下げます。

「さぁ、これから、この首飾りを取り返しに、憎き"三銃士"が来るはずだわ。三銃士を、此処で、迎え撃つわよ。こちらは、百人。あちらは、三人しかいないんだから、すぐに、倒せるはずよ。そして、三銃士がいなくなった、アンの国の防衛は、手薄状態のはず。そのうちに、アンの城に入って乗っ取ってしまえば、こちらのもんよ。ウフフ」

勝ったも同然とでも言うように、高笑いをするファンラン女王。

「さすがでございます。ファラン様」

手をスリスリしながら、褒め称えるキムが、また、グラスにワインを注ぎます。

「ジェシン!!これから、三銃士が来るわ。攻撃に備えて!!」

「仰せのままに…」

ジェシンが、ファラン女王の前で、跪いて、頭を下げます。

謁見室の外では、怪しい人影が、中の話を盗み聞きをしていました。

「こりゃぁ、ヤバいことになってきたな…」

城の召し使いに成りすましている正体不明の男は、何処と無く、誰かに似てるような気がします…。

「ク・ミナン、何しているんだ!!ボケっとしてないで、さっさと、動け!!」

「あ…はい。すみません。」

突然、訛った口調になるそのミナンが、頭を下げながら、声のする方に走っていきました。



☆☆☆★

アン王とファラン女王は、元夫婦の設定です。
元は、国同士は、温厚な関係を保っていましたが、ファラン女王が、大変、支配をしたがるヒトで、国にあるモノを、すべて自分のモノにしてしまい、最後は、国自体を手に入れようとして、アン王に手を出しはじめたのを、ギョンセが、気づいて止めて、国から追放したんです。(曖昧な設定で、すみません)

あと、謎の男"ク・ミナン"の正体は、一体、誰なんでしょうか…ね。

次回は、テギョンたちの話になります。