イケメン版

「三銃士」

*番外編*

「追憶」


久々に、夢を見た…。

ジウォンの夢だ。

今でも、ハッキリと思い出す。

満天に輝く星空の下、ジウォンと、初めての口づけをした。その時のふたりは、確かに、幸せだった。
言葉になくとも、ジウォンの表情が幸せそうだったと、テギョンは、思い出す。

いつから、すれ違ったんだろうか?

ジウォンに、声を出して、告白はしていないが、口づけで、自分の気持ちは、確かに伝わったと確信していた。

でも、自分の思い込みだったらしい…。

ある日、ジウォンに言われた。

「テギョン…ごめんね。私、ジェシンと結婚することになったの」

「…ウソだろ?どうして?ジェシンのことが、スキなのか?」

オレは、ジウォンを真っ直ぐ見つめ、ジウォンの肩を掴みながら、強く揺すり、真意を問いただした。
でも、ジウォンは、俯いたまま、「ごめんなさい。ごめんなさい。」と、謝ってばかりで、答えようとしない。
何も答えず、ずっと泣いているジウォンに、段々と苛立つ、自分がいた。

何も答えれない…それは、ジェシンがスキ…それが、答え。そう、思った。

「わかった。勝手にすればいいだろ!!」

オレは、ジウォンに捨て台詞を吐いて、立ち去った。追ってくるジウォンを置いて…。

そのあと、オレを追ったジウォンは、突然、暴走した馬車に轢かれ、瀕死の重傷を負い、一生、歩けない身体になってしまった。

ジウォンは、ノイローゼになってしまい、家に閉じ籠ってしまった。身体も動かない分、衰弱してしまい、流行の病に侵され、ジウォンは、この世を去った。


…あのとき、ちゃんと話を聞いていれば…。

…あのとき、「愛してる」と言っていれば…。

何かが変わっただろうか…?

後で、聞かされた。
ジェシンとジウォンは、親が決めた結婚だったんだと。
名家生まれの一人娘のジウォン。親のことは、絶対で反発することも出来ず、従うことしか出来なかった。

結局、オレが、愛の告白をしても、変わらなかったんだと、気付いた。

ジェシンに「お前が、ジウォンを殺したんだ」と責められた。ジェシンは、悲劇の婚約者になっていた。

「仕方がない」

それだけで、片付けられるような話ではないと。

「お前を、許さない」

そう言って、ジェシンは、この国を去っていった。

そう、ジウォンを殺したのは、自分だ。

許されることのない、罪。
一生涯、償っても、償いきれない。



★☆☆☆

ダークなテギョンの過去で、すみません。
少し、過去について、書いておきたかったんです。

どうして、今でも、ジウォンに許しを請うのか…を。

さて、本編は、本日中に更新しますので。

お待ちください。