イケメン版

「三銃士」

*48*




テギョンとミナムが、唇と唇が触れてしまうほど、間近で見つめ合っていました。

ゆっくりと近付く唇…。

あと、数センチ、ふたりの唇が触れそうになった時、ドアのノック音が聞こえます。

「テギョン、ミナム、起きてるか?」

ドア越しから、シヌの声が聞こえます。

ミナムが慌てて、テギョンから顔を背けると、身体を離します。

テギョンも、その音で覚醒します。

"…オレは、今、何をしようとしてた…?"

さっきまで感じていた、ミナムの温もりと柔らかい感触が、まだ、くっきりと残っていました。

テギョンは、振り切るように、身体を起こし、首を振ると、シャワーを浴びに行ってしまいます。

ミナムも、テギョンから顔を背けながら、ドアに向かいます。

「おはよう、ミナム。起きた?」

シヌが、ミナムの顔を伺いながら、聞きます。

「は、はい。おはようございます。すみません。すぐに、仕度しますね」

少し顔が赤いミナムが、顔を隠すように俯いたまま、シヌに答えます。

「顔が赤いけど、大丈夫か?」

シヌが、ミナムの頬に手を添えます。

「あっ、すみません。大丈夫です…」

ミナムが、シヌに頭を下げながら、部屋へと戻っていきます。

部屋に戻ると、テギョンは、シャワーを浴びているようで、姿がありませんでした。

「はぁ~~」

ミナムは、大きなため息をつくと、まだ、ドキドキしている心臓に手を当てながら、床に座り込みました。

先ほどの、悲しそうなテギョンの顔が、ミナムの脳裏に甦ります。

"テギョンさんとジウォンさんに、何があったんだろう…。"

すると、また、チクンとするような胸の痛さを感じます。

"この、痛さは…何…?"

その胸の痛さは、ミナムにとって、初めて感じる痛みでした。



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