イケメン版
「三銃士」
*42*
ミナムが目を覚まし、辺りをキョロキョロと目だけを動かして見回すと、テギョンの背中が見えます。
「…テギョン…さん?」
か細い声で、ミナムが、テギョンを呼びます。
「…気がついたか?」
テギョンが、ベッドの枕元のそばにあった椅子に腰かけます。
「あの…すみませんでした」
ミナムが上体を起こすと、頭を下げます。
「お前は、いつも、謝ってばかりだな…まぁ、オレに散々、迷惑かけてるから、当たり前のことだけど…」
テギョンは、一瞬だけ、口角をあげ、微笑みます。
"…あっ、テギョンさんが、笑ってる"
ミナムが、ポカンと口を開け、不思議そうに、テギョンの顔を見ています。
「何、ヒトの顔を見てるだ?」
テギョンが、嫌そうに、口を尖らしています。
「…すみません」
また、謝るミナムが、ふと、自分の胸元に、目がいきます。
シャツのボタンが外され、白い肌が見えていました。ミナムが、顔を真っ赤にすると、慌てて、胸元を隠し、テギョンを恨めしそうな顔で、見ています。
「おい、勘違いするなよ!!苦しそうだったから、ボタンを外しただけだ。それに、サラシ巻いてるんだから、問題ないだろ…?」
テギョンが、"オレは悪くない"と、鼻息荒く、弁解します。
ミナムは、泣きそうな顔で、そっぽを向くと、シャツのボタンを止め直します。
テギョンが、そんな、ミナムを見て、ハァーと大げさなため息を吐きます。
「お前の兄貴だが、隣国にいるのは、本当か?」
「はい」
「誰に聞いた?」
「…知り合いの方です」
ふと、テギョンの脳裏に、いつの日か、教会で話をしているジェシンと女性の姿が、思い浮かべていました。
今なら、なんとなく、見覚えのあるような、その女性。まさか、と思いながら、テギョンは、ミナムに質問をします。
「まさか、ジェシンか…?」
そう言った途端、ミナムの顔色が、一瞬、変わったのを、テギョンは、見逃しませんでした。
「…まさか、日曜日に会いに行ったのも、ジェシンなのか?ジェシンとの関係は?なんで、アイツと知り合いなんだ?」
テギョンが、ミナムに詰め寄ります。
ミナムは、今にも、泣きそうな目で、テギョンを見ていました。
☆☆☆★