イケメン版

「三銃士」

*39*




ミナムに、優しく接するシヌを、テギョンは、口を尖らしながら、見ていました。

その時、寄宿舎の扉が開き、マ室長が、慌てて、中へと入ってきます。

「大変なことになった!!!…でも、その前に…ミジャさん、水を一杯!!」

ゼェーゼェー息を切らしながら、マ室長が、コップの水を飲み干します。

「で、大変なことって、何?」

ジェルミが、騒ぎを聞きつけ、食堂に戻ってきます。

「ヘイ様が、いなくなってしまったんだよ!!しかも、王家の大事なダイヤの首飾りまでがなくなっているんだ!!」

テギョンが、チッと舌打ちをします。

「…ユ・ヘイがやったに決まってる。アイツが、王をたぶらかして、城に入り込んで、ダイヤの首飾りを盗んだ犯人だ。」

テギョンが、腹を立てて、机をドンと強く拳で叩きます。

「なぜ、ヘイ様が犯人だと決めつける?」

マ室長が、疑問をテギョンに投げかけます。

「ユ・ヘイの出身地は、隣国だ。手紙を届けに行ったとき、ジェシンに会った。ユ・ヘイに、ジェシンのことを聞いたら、知っているようにみえた。ジェシンと関係があるようだったら、きっと、ファラン女王とも繋がりがある。…ユ・ヘイは、隣国のスパイだ。」


唖然とするマ室長とジェルミ。

ミナムは、椅子に座って、うつ向いたまま、話を聞いています。そして、"ジェシン"の名前を聞き、酷く動揺してました。

"昨日、ジェシンさんが来れなかった理由って…まさか…"

顔色が、また一段とひどくなっているミナムを、ちらりと、シヌが心配そうに見ますが、すぐに、テギョンたちに顔を向けます。

「確かに、テギョンの言うことは、一理ある。残念ながら、アン王は、無類の女好きだ。しかも、美女には、目がない。痛いとこを突かれたもんだな…」

シヌが、ハァーと、ため息をつきます。

「で、どうするんだ…?」

マ室長が、テギョンに聞いた、そのとき、突然、バタンと床に倒れてしまうミナム。

テギョンが、咄嗟に、ミナムの方に近寄ります。
真っ青な顔色で、ハァーハァーと、苦しそうな息を吐くミナム。
テギョンは、考える間もなく、ミナムを抱き上げます。
テギョンの行動に驚いて、目を丸くしながら、呆然と見ている3人。

テギョンは、無言のまま、ミナムを抱き上げ、階段を上っていきました。



☆★★☆

ヘイが、事件を起こしたことによって、ハナシは、ようやく、先へと進んでいきそうです…。

あと、ミナムが倒れたことで、テギョンとの距離が縮められるかも…。