イケメン版

「三銃士」

*37*




教会へ向かう女装をしたミナム…いえ、ミニョが、不安そうに、空を見上げました。
夜が明けた空の天気は、あまり思わしくなく、どんよりとした灰色の雲が、空を覆っていました。

"雨、降らないといいんだけど…"

ミニョは、足早に、教会へと向かいますが、ポツポツと、大きな雨粒が落ちてきます。そのうち、ザァーと地面に音を立て、雨が降り始めます。

ミニョは、身体を覆っていた布を、頭から被ると、教会まで、走って向かいました。

息を切らし、ずぶ濡れになりながら、教会へたどり着くと、重い扉を開け、中へと入っていきます。

礼拝堂には、まだ、人がおらず、ひとりのシスターが、朝の祈りを捧げていました。

ミニョに気づいたシスターが、祈りを止めると、ミニョの方を向き、頭を下げます。

「あら、大変。びしょ濡れになって…少し、お待ちくださいね」

シスターが、優しい笑みを浮かべながら、ミニョにそう言い残すと、奥の部屋に入っていきます。

「さぁ、これで、身体を拭いてください。このままだと、風邪をこじらせてしまいますよ」

ミニョは、「すみません。ありがとうございます」と、タオルを受け取ると、濡れた身体を拭きはじめます。

「…あの、ココで、人と待ち合わせをしているのですが、少しの間、居させていただけませんか?」

「えぇ、どうぞ」

「ありがとうございます。」

ミニョは、シスターに、ペコリと頭を下げます。

それから、ミニョは、一番奥の席に腰掛けると、ジェシンが現れるのを待ちます。

しかし、昼を過ぎても、夕方近くになっても、ジェシンが姿を現わすことは、ありませんでした。

時間が経つにつれ、不安が募っていくミニョ。
ミニョは、居ても立ってもいられず、席から立ち上がると、まだ、雨が降っている教会の外で、ジェシンが来るのを待ちます。

"どうしよう…何か、あったのかな…?もしかしたら、今日は、雨だから来ないかもしれない…。それでも、約束したから、待たないと…"

すでに、外は暗くなり、雨は止みましたが、ミニョは、その場から動くことなく、ジェシンを待ち続けました。
しかし、約束の日に、ジェシンが現れることは、ありませんでした。



☆★☆★

…ジェシン、現れず。