イケメン版

「三銃士」

*36*




約束の日曜日。
ミナムは、いつも以上に早起きをしていました。
まだ、外は、夜が明けておらず、薄紫色の空が広がっています。
ミナムは、静かに、音を立てず、服を着替えると、部屋のドアを開け、キョロキョロと廊下を覗き、誰もいないことを確認すると、そそくさと、部屋を出ていきます。
忍び足で、廊下を歩き、軋む階段も静かに下ります。

"なんか、いけないことしてる気分…でも、こんな格好しているのがバレたら、大変よね…"

ミナムは自分の格好を見ると、小さなため息をつきます。
ミナムの姿は、元の女性(ミニョ)の姿に戻っていました。

ミナムが、まだ薄暗い食堂を通りかけたとき、

「おい、お前!!誰だ?」

突然、聞こえた声に、ミナムが、ビクッと驚いて、肩を震わせると、恐る恐る、声がする方へと振り向きました。

「…コ・ミナム…か?」

そこには、なぜか、テギョンの姿が…。
目を凝らしながら、テギョンは、ミナムを見ています。

「何故、そんな格好をしている?夜逃げでもするのか?」

テギョンが、ミナムの姿を見ようと、近付いてきます。

「い、いえ、それは、ないです。あ、あの…知人に、会いに…」

しどろもどろ答えるミナムに、テギョンが、口を尖らしながら、不審そうにミナムを見ています。

「ま、別に、お前が出て行こうが、オレには、関係ないけどな…」

テギョンが、尖らした口を左右に動かすと、水の瓶を持ち、階段を上っていきます。

ミナムは、はぁ~と大きな息とともに、胸を撫でおろすと、出入口のドアへと向かいました。

パタンと、控えめに閉まったドアをテギョンは、階段から見ていました。

"アイツ、こんな朝早くから、あんな格好で、どこに行くんだ…?知人って、誰なんだ…?"

思わず浮かんでしまった疑問に、テギョンは、首を振り、疑問を振り払います。

"アイツが、どこに行こうが、誰と会おうが、オレには、関係ない。"

テギョンは、思いっきり口を尖らしたまま、自室へと入って行きました。



★☆★☆

気になる…テギョンさんですが、まだ、残念ながら、「ラブ」要素はありません…(たぶん)。とりあえず、まだ、"気にかけている存在"と言いましょうか、ミナムは、「事故多発地帯」ですから、何を仕出かすか、わかりませんから…ね。