イケメン版
「三銃士」
*35*
ミナムは、朝ごはんを終えると、室長室に向かいます。
トントンと、ドアをノックすると、「開いてるよ、どうぞ、入って!」と中から声が聞こえ、「失礼します」と言って、中へ入っていくミナム。
ドアを開け、中に入ったミナムは、目を丸くして驚きます。部屋の中は、色々な物で溢れ、足の踏み場さえも無くなっていました。
「マ室長…?」
「あぁ、すまん。今、片付けるから…」
なんとか、足の踏み場と、ふたりが座る場所を確保するマ室長。
「さぁ、座ってくれ。」
「ありがとうございます。」
ミナムは、イスの上に置いてあった物を退かし、腰かけます。
「すまんな。兄さんの居場所は、まだ見つからないんだよ」
「あの…そのこと、なんですけど、兄の居場所がわかったんです。今、隣国にいるらしいんです…」
「えっ…?隣国なんて、また、なんで、そんな、ヤバイ場所に…」
「やっぱり、隣国って、危険なんですか…?」
「危険って…あの、恐ろしいファラン女王が治める国で…その下には、あの、黒騎士のジェシンがいるんですよ。あそこは、よそ者が、ひょこひょこと入れるような国ではない。見つかってしまえば、命の危険も…」
マ室長が、そこで話を止め、ミナムの顔を見ると、そこには、血の気を失せたように青ざめた顔がありました。
「あぁ…すまん。大丈夫。アイツは、悪運の強いヤツだから、きっと、無事に違いない…」
「そうだと…いいんですが…あと、テギョンさんに、女だとバレてしまったんです…」
「えぇ…!!??テギョンは、なんて…」
今度は、マ室長の顔が青ざめます。
「1ヶ月だけ、いてもいいと。でも、それまでに、兄を見つけないと…」
マ室長は、ホッと胸を撫でおろします。
「はぁ…とにかく、ミナムのことに関しては、慎重にいかないと…。あなたも、危険なことはしないでくださいね。例えば、お兄さんの情報収集のために、隣国の者から情報を集めたり、ふたりだけで会ったり、何をするか、わからない国ですから…それだけでも、ミナムやあなたが、危険な目に遭ってしまう可能性もあるんですから、気をつけてくださいね」
「…はい」
ミナムは、マ室長の話を聞きながら、頭の中に、ふとジェシンが思い浮かびます。
"カレを…ジェシンさんを、信じても、大丈夫なんでしょうか…明日になったら、また会う約束をしているのに…会いにいっても、大丈夫なんでしょうか…"
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