イケメン版

「三銃士」

*34*




「…すみません」
「…すみません」

テギョンに、何度も、申し訳なさそうに、ペコペコ頭を下げるミナム。

ミナムが、頭を下げる度に、髪に付いている水滴が、テギョンへと掛かり、その度に、テギョンが、イヤそうに口を尖らしています。

「もう、わかったから、今すぐ、出てけ!!」

テギョンが、出口を指さしながら、ミナムを追い払うと、ドアを思いっきり、音を立てながら、閉めました。
ミナムは、グスッと鼻を啜ります。

「おはよう、ミナム」

ミナムが、項垂れながら、廊下を歩いていると、シヌが、声を掛けます。

「…おはようございます」


一瞬、シヌを見上げると、小さな声で挨拶をするミナム。

「元気ないな、大丈夫か?」

「あっ、はい。すみません、大丈夫です」

ミナムが、慌てて、笑顔を作ります。

「食堂で、ご飯を食べよう。」

シヌが、ミナムの肩を掴むと、食堂へと連れていきます。

食堂には、すでにジェルミがいて、ご飯を食べています。

「ミジャおばさんのご飯は、いつもおいしいねぇ~♪あっ、お代わりちょうだい!!」

「あら、ジェルミくんは、おだてるのが、うまいわねぇ♪はい、これ、特製ジュース」

「わぁーい!!あっ、シヌ兄貴、ミナム、おはよう!!」

「あら、おはよう。シヌくんとミナムくん。」

「おはようございます。」

「さぁ、用意が出来てるから、座って、食べてね。」

すでに、テーブルには、ふたり分の朝ごはんが置かれています。

なんとなく食が進まないミナムは、チビチビとパンを小さく千切ると、口の中に入れます。

「あれ、ミナム、ご飯、いらないの?いらないなら、玉子焼き、ちょうだい」

ミナムの向かいに座っていたジェルミのフォークが、ミナムの玉子焼きに伸びてきます。

「あっ…玉子焼きはダメですぅ」

ミナムは、お皿を自分の方へと引きます。

「えぇ、なんでぇぇ、ズルイ!!一個くらいちょうだいよ!!」

「ダメですぅ」

ジェルミとミナムが、玉子焼きの攻防戦やっていると、シャワーを浴びた、テギョンが食堂へとやってきます。

テギョンが、冷ややかな目で、ふたりを見ています。
"バカが、ふたり…。"

ギャーギャー騒ぐふたりと、それを楽しそうに見ているシヌを、テギョンは、もう一度、チラリと見ると、水の瓶だけをもらい、そそくさと、部屋へと戻っていきました。



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