イケメン版

「三銃士」

*33*




毎朝、寄宿舎で、一番先に起きるのは、テギョンです。
テギョンは、毎日欠かさずに、早朝トレーニングを行っています。
今朝も、テギョンは、規則正しい時間に起きると、トレーニングを行うため、出かけて行きます。

ミナムが、テギョンが出ていった音で、目を覚まします。

「う…ん」

ベッドから起き上がろうとすると、身体中に痛みを感じます。

「う…痛い…」

なんとか、ゆっくりとベッドから起きると、ミナムは、風呂に入るため、部屋から出ていきました。

シーンと静まった寄宿舎の中、足音をたてずに、廊下を歩いていきます。

ミナムは、浴室に入ると、湯船にお湯を溜めると、中に入ります。
ミナムは、風呂に入りながら、自分の身体の所々に、痛々しいアザが出来ているのを確認します。

"はぁ…ミジャおばさんか、マ室長に、湿布薬もらわないと…"

ミナムは、湯船から出ると、大きなタオルで身体を包み込み、脱衣室に入ります。
フーっと、息を吐き、少し、頬を火照らせながら、リラックスした表情のミナムは、タオルで、濡れた頭をゴシゴシと、水分を拭きとります。

その時、ミナムの背後から、"ガチャリ"と不吉な音が聞こえます。

"!?"

ミナムは、胸元のタオルをガッチリ押さえると、オロオロと隠れる場所を探します。

しかし、無情にも、ドアが開いてしまいます。

「うわっ!?なんで、お前が、ココにいるんだ!?」

ミナムの姿を見て、驚くテギョン。

ミナムの姿を、上から下まで見ます。

濡れた髪の滴が、ポタポタと白い露出した肩に落ち、頬を赤く染めたミナムの姿に、ポカンと口を開けてしまうテギョン。

ミナムも、あまりにも驚いて、声も出せずに、目を大きく見開いたまま、固まっています。

テギョンは、わざと、大きな咳払いをします。

「おい、コ・ミナム!!」

テギョンに呼ばれて、ミナムが、パチパチと瞬きをすると、自分の姿を思い出し、アタフタしながら、悲鳴をあげようとした時、突然、テギョンの手が伸び、ミナムの口を塞ぎます。テギョンの手の中で、モゴモゴするミナム。

「…ったく、お前なぁ…女の声で悲鳴でも、あげてみろ。すぐにバレるぞ…!!」

小声で囁くテギョンの手が、ミナムの口から離れます。

「…すみません」

息苦しかったのか、それとも恥ずかしいのか、涙目になりながら謝るミナム。

「とっと、服を着ろ!!出てくから…」

「…はい」

ミナムは、急いで、服に着替えます。

テギョンは、とりあえず、外で、ミナムが出るのを待ちます。

衣擦れの音が聞こえる中、一瞬、ミナムの先ほどの姿が思い浮かびます。

「アイツ、本当に女だったんだ…」



☆★☆★

何故か、今回のハナシ、お風呂がやたらと出てきますが…言い訳を…まず、テギョンは、潔癖症だから、朝晩、毎日入る。ミナムは、ヒトに会わない時間=早朝になってしまうので、早朝に入るテギョンとの遭遇率が上がってしまうんですよ。
それに、"密室"だから、聞かれたら困る会話が出来るんで、今回は、たくさんと利用させて頂いてます…でも、すぐにテギョンが開けちゃうから密室じゃないけど…ね(笑)