イケメン版

「三銃士」

*28*




テギョンに壁へと追い込まれたミナム。
ギロッと威圧感たっぷりの目で、テギョンがミナムを睨み付けます。
ミナムは、歯を食いしばると、涙目をぐっとこらえ、テギョンを見上げています。
テギョンが、少し驚いたような顔をしています。
ミナムの身体は、ガタガタと震えているのに、大きな目を真っ赤にしながらも、真っ直ぐにテギョンを見ています。

「フン、泣かなくなったのは、少しは、偉くなったか…話だけなら、聞いてやる。ただし、オレを納得させろ。でなきゃ、すぐにでも、追い出してやるからな!!」

テギョンは、壁に当てた手を離します。
ガクッと、力が抜けたように、へなへなと座りこむミナム。

「うへぇ…腰が砕けましたぁ…」

テギョンが、そんなミナムを見ながら、ため息をつきます。

「あの…私は…兄を探しているんです。兄は、マ室長のスカウトを受け、この騎士団の入団試験を受けることになっていたんです。でも、入団試験当日になっても、兄が現れなかったんです。私は、マ室長に頼まれて、兄の代わりに、入団試験を受けました。私は、兄を探すためと、兄の願いを叶えるためにココにいます。兄は、この騎士団に入るのが、夢だと言っていたそうです。貴方にも、騎士団にも、ご面倒をかけません!!兄が見つかるまででいいんです!!ココにいさせてください!!お願いします。」

ミナムは、土下座をすると、床に額が付いてしまうほどに、低く頭を下げます。

テギョンは、自分の足元で、土下座をするミナムを見下ろしています。


"嘘は…ついてないようだな…コイツは、嘘がつけるような人間じゃないようだし…"

ミナムは、死の宣告を受けるような気分で、ビクビクしながら、テギョンの言葉を待っていました。

テギョンが、大袈裟にため息をつくと、ボソッと呟きます。

「…1ヵ月」

「はい…?」

ミナムが、そっと顔を上げます。

「1ヵ月だけなら、いてもいい。ただし、オレに面倒をかけるな!!何か、仕出かしたら、すぐに追い出すからな、覚悟しておけよ!!」

テギョンが、ミナムの鼻先にビシッと指を指します。

「ありがとうございます!」

ミナムが、満面な笑みを浮かべ、また頭を下げます。

「もう、邪魔だ。部屋から出ていけ!!」

テギョンが、ミナムを部屋から追い払います。

「ありがとうございます!!頑張ります!!」

ミナムは、部屋を出る前に、もう一度、腰を曲げて、頭を下げます。

テギョンが、鼻で、ミナムを馬鹿にしたような笑いをしながら、ドアをバタンと閉めました。



★☆★☆

ミナム、よく頑張りましたぁ!!((o(*^∀^)o))