イケメン版
「三銃士」
*25*
*テギョンたちの状況をお伝えするため、しばし時間を巻き戻しさせていただきます*
自室にいたテギョンは、ムシャクシャした気持ちを抱えながらも、バスローブから服に着替えます。
部屋から出ると、廊下を歩いていたシヌと鉢合わせします。
「なぁ、テギョン。ミナムを見なかったか?」
「…知らん」
不機嫌そうに口を尖らすテギョン。
「部屋にも、ミナムの姿がないみたいなんだけど…」
シヌは、ジーッと探るような目でテギョンを見ています。
お返しにとばかりにテギョンが、シヌをギロッと睨みます。
「オレに聞くな。アイツの話なんか聞きたくない!!オレは、今から出かけてくる。邪魔するな!!」
テギョンは、シヌを振り切ると、不機嫌そうにドカドカと足音を鳴らしながら去っていきます。
"仕方ない…もう一回、探してみるか…"
シヌは、テギョンの背中を見ながら、大きなため息を漏らすしかありませんでした。
「テギョン兄貴ー!!ねぇ!どっか、行くの??」
食堂で、下宿屋のミジャおばさんが作った朝ご飯を食べていたジェルミが、テギョンを見つけて声を掛けますが、不機嫌オーラ全開のテギョンの耳には、ジェルミの声など全く入っておらず、そのまま通過して行きます。
「あぁ…テギョン兄貴のいけずぅ!!」
ジェルミの叫びすら、聞こえていないテギョンは、さっさと下宿屋を出て行きます。
テギョンは、馬小屋に立ち寄り、漆黒の毛並みの愛馬に乗り込むと、颯爽と街の中へと走っていきました。
途中、花屋に立ち寄ると、花屋の主人が、テギョンに会釈し、「いつものだね。すぐに用意するよ」と、手慣れた様子で、リースを作り上げ、テギョンに渡します。
テギョンは、そのリースを持って、教会の裏手の墓地へとたどり着きました。
慣れた様子で、墓地を歩くテギョンは、白い大理石で出来た墓石の前で立ち止まりました。
墓石を見つめながら、一瞬、辛そうに顔を歪めるテギョン。
その場に跪くと、リースを墓石に手向けます。
「……ジウォン、いつになったら、お前は、オレを許してくれるんだ…?」
そう呟くテギョンの顔は、悲痛に歪んでいました。
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