イケメン版
「三銃士」
*16*
ミナムは、テギョンの背中の温かさがとても懐かしく感じていました。
それは、昔の懐かしい記憶…。もう歩けないと駄々をこねる幼いミニョに、ミニョと大して背の変わらない兄のミナムがミニョを背負いながら、家路を歩いていました。
兄ミナムの温かい背中が、今も忘れることなく、ミニョの心の中に残っていました。
「…お兄ちゃん」
兄のミナムの格好をしたミニョが、ポツリとつぶやきます。
テギョンが、その囁くような小さな声に反応して、ミニョの方を見ます。
「コ・ミナム…?」
テギョンに呼ばれても、返事がないミナム。
ミナムの閉じた瞳から、一滴の涙が流れ落ちるのを、テギョンは、ただ黙って見てました。
宿屋へ着き、ミナムをベッドに寝かすテギョン。
涙で濡れたミナムの長い睫毛を、テギョンは、見ながら、小さなため息をつきました。
本当は、ミナムを叩き起こし、女かどうかを問い詰めようとしましたが、ミナムの涙を見ていると、その気も失せてしまい、
「コ・ミナム、明日、話をきくから、覚悟しとけよ」
テギョンは、寝ているミナムに言うと、部屋を出て行きました。
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