イケメン版
「三銃士」
*9*
「お前に決めたからな。これは、命令だ。今更、ダメだとか、無理だとか、言って、断るなよ。」
テギョンが、ビシッとミナムの鼻先を指差します。
ミナムは、断ることも出来なくなり、肩を落として、俯くと、口をすぼめていました。
「良かったじゃないですか、初任務。スゴイことですよ。あの、三銃士に、しかも、テギョンに認められるなんて…」
ミナムの初任務の話を聞きつけたマ室長が、少々、浮かれながら、ミナムを祝っていますが、ミナムは、肩を落とし、ため息をついています。
「女装なんてしたら、私が女だって、すぐに、バレてしまいます」
ミナムが、小さな声で囁きます。
「大丈夫ですよ。シヌは、どうだかわかりませんが、テギョンやジェルミは、女性に対して、免疫が、あんまりないみたいなので、バレてしまうことは、ないと思いますよ。初任務、頑張ってくださいね。」
マ室長が、ミナムの肩を叩き、励まします。
ミナムは、またひとつ、大きなため息をつきました。
そして、初任務の朝。
ミナムの部屋に、ひとりの女性がやって来ます。
「あなたが、コ・ミナムね。私は、ワン。よろしくね。フニから事情は聞いてるわ。今日、あなたの手伝いにきたの。」
ワンは、両手に衣装などを抱えています。
「さぁ、これに着替えてちょうだい。」
ミナムに衣装を渡すワン。
ミナムが、衣装に着替えてやって来ます。
「あら、可哀想に…。あなた、胸がぺったんこね。」
ワンが、遠慮なく、ミナムの胸を両手でペタペタと触っています。
「まぁ、女としては、残念だけど…大丈夫。そのくらいならバレないわよ。あとは、簡単にお化粧して、あとは、ウィッグを被って…。」
ワンが、ミナムを女性に仕上げてきます。
「なかなか、いいんじゃないの。変に、気にしちゃダメよ。恥ずかしがらずに、堂々としなさい。」
ワンが、ミナムの背中を強めに叩きます。
「じゃあ、頑張ってね。」
ワンが、部屋を出ていったあと、ミナムは、姿見で、自分の全身を映します。
女性に戻った自分に、少し、照れくさそうに、微笑みながら、しばし、鏡を見てました
すると、ドアのノック音と「ミナム、準備、出来たか?」と言う、シヌの声が聞こえます。
ミナムの顔から、サッと笑みが消え、緊張の面もちへと変わっていくのでした。
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