短編

「Flower Girl」

*4*


最後は、黒のレースのヘッドドレス、黒のミニドレス、ブーティサンダル。

メイクも、カワイイ系から、アイメイクを強調したクールなメイクに。


「あのコ、いいわねぇ…モデルにならないかしら。緊張とか、場を踏めば、慣れていくし、化粧栄えもする。結構、カワイイわよね」

セリョンが、撮影中のミニョを見ながら言う。

「たぶん、無理ね」

ワンが、首を横に振った。

「まず、あのコのカレが、許さないわ」

「あら、あのコ、カレいるの?」

「すごーくヤキモチ妬きのカレがね。たぶん、兄のミナムより、超がつく過保護…。」

「も、もしかして…ま、まさか…ファ、ファン…」


ワンが慌てて、セリョンの口を手で塞ぐ。

そして、人差し指を口に当てる。

「えっ…?そうなの?」

無言で頷くワン。

「あ、あの…皇帝のカノジョ…皇帝にカノジョがいるのは、知ってたけど、まさか、カワイイ系が好みだなんて…意外ね…」



「以上で、撮影終了します」

「ありがとうございました」

ミニョがペコペコ頭を下げながら、カメラマンやスタッフに挨拶する。


「ミニョー、ありがとう。助かったわ。それに、スゴく、可愛かったわよ」


ふたりがいるところに、戻ってきたミニョを、ワンがハグをする。

「さぁ、着替えて、久々に一緒に、ご飯食べましょ。おごってあげるわよ」


「アタシも行くわぁ。ミニョ、カレとの恋バナを、詳しく聞かせてちょうだい!!」


ミニョは、食事中、ずっと、セリョンの迫力に押されながら、モジモジ恥ずかしそうに、顔を真っ赤にしながら、テギョンのハナシをするハメになった…。


「あら、皇帝って、意外に純愛なのね。ツンツンしてるようで、実は、すごく優しいなんて…良いオ・ト・コねぇ…アタシも惚れちゃいそう…ウフ」

身体をクネクネ捩りながら、悶えているセリョン。
ミニョが、口を開けたまま、フリーズしている。

「冗談よ、冗談。他人のモノを奪う気は、ないの。それに、ミニョ、アンタもカワイイし…」

酔っ払ったセリョンが、ミニョの頬にキスをする。


「はい、ジョンフン!!ストップ!!このままだと、ミニョが気絶しちゃう!!」

「本名、言うな!!」

「セリョン…地が出て、ますますコワイわよ」

「もう、一杯!!今日は、とことん、飲んでやる!!」


「ミニョ、タクシー呼んであげるから、あなたは、帰りなさい。」

「オンニ、おやすみなさい」
「はい、おやすみ。今日のアルバイト代は、今度、会ったときに渡すから。気を付けて帰るのよ」

ワンが、タクシーを呼び、ミニョを乗せ、見送った。

ワンが、セリョンに付き合わされて、次の日、二日酔いになったのは、言うまでもない…。



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