短編

「罪と罰」


冬に、ずっと身を隠していた木が、春になると、ピンク色の花を身につけ、居場所を教える。

そのピンク色の花は、満開に咲き誇ると、風に吹かれ、ピンク色の花吹雪となって、刹那的な儚さで、散ってしまう。

オレの掌に、一枚のピンク色の花びらが落ちる。

ぎゅっと握りしめて、その掌の中に閉じ込める。

逃げ出さないように、ぎゅっと…。

でも、ゆっくりとその掌を開くと、その花びらは、風に吹かれて、また、何処かへと飛んでいってしまう。


…どうして

お前の手を離してしまったのだろう

もう、絶対に離さないと、誓ったのに…。


…どうして

後悔ばかりが、押し寄せる…?

…どうして

胸に、もう、決して埋まることがない穴が空いてしまったのだろう…


…どうして

…どうして

お前を想うだけで、切なさと辛さが押し寄せる


愛が…掌から零れて落ちていく。

ぎゅっと掌を握っても、あのピンク色の花びらのように、何処かへと消えていってしまう。

零れ落ちた愛は…何処へ消えていってしまうのだろう…

お前への愛は、何処へ…?

…愛してる

…愛してた

「罪と罰」

…この胸の苦しさは、お前を手離した罰

…罪

…それは、お前以外のヒトを愛してしまった罪


その罪は、一生、赦されることがない…。

オレの足枷になり、一生、まとわりつく。


後悔しても、遅い。

お前は…

…オレの元には帰ってこないのだから



★☆★☆

いきなり、ズドーンとダークに堕ちました。

前に、短編「涙雨」書いたんですよ。

その、男性versionとでも言いましょうか…。


たまに、堕ちてみたいのさ…ズドーンと。