『happiness』

「母性愛」


ミニョとユエが、病院から退院してきた。


いつもは、テギョンとミニョは、一緒の寝室に寝ているのだが、眠りの浅いテギョンが、ユエの夜泣きで目を覚まさないよう、ミニョの配慮により、しばらくの間、ミニョが、別の部屋で寝ることになった。


真夜中に、仕事を終え、帰宅したテギョン。

キッチンの冷蔵庫から、いつもの水を取り出し、飲みながら、階段を昇り、寝室に向かう。

ふと、部屋のドアの隙間から、明かりが差していて、テギョンがドアを少し開ける。

「…ミニョ」

「おかえりなさい」

ミニョが、顔を上げた。

ベッドサイドのテーブルに置かれたランプの明かりだけで、ミニョが、ユエを抱き上げ、母乳を与えていた。

ちっちゃな手で、おっぱいを掴み、コクコク吸い付きながら、一心に飲み続けるユエを、ミニョが優しく見守っている。

ユエが、満腹まで飲み終えると、そのあとに、トントンと背中を叩き、ゲップを出させる。

ユエを優しく揺らしながら、また、眠りにつかせる。

テギョンが、ミニョの後ろから抱きつくと、ミニョの肩に顎を置き、頬を寄せながら、ユエを見つめる。

テギョンが、ユエの頬を、指で撫でる。

「ミニョ、大丈夫か…?」

最近、ほとんど眠れていないミニョをテギョンが心配していた。

「すごく眠たいですけど、不思議と、大丈夫なんですよ。」

ミニョが、優しい顔で、ユエを見つめている。

「このコが、私を、求めてくれているから、すごく、いとおしく感じるんです。だから、すごく眠くても、このコのためなら、ガマン出来るんです」

ミニョが、ニコッと笑う。

ミニョの愛情が、息子のユエにいっぱいに注ぎ込まれるのを、テギョンは、感じていた。

「コイツは、幸せなんだな。母親に愛されて…」


母親の胸で、眠りについたユエを、テギョンは見つめていた。


★☆★☆