『happiness』

「gift」

*8*


A.N.JELLのアジアツアーも無事成功し、テギョンは、しばらくの間、休暇をとっていた。

俗に言う、「産休」である。

それは、アジアツアーがはじまる前に、テギョンがマ室長に話していた。


「アジアツアーが終わったら、休みもらうから。曲作りなら、家でも出来るからな。だから、仕事、何が何でも入れるなよ」


マ室長に有無を言わさず、半ば強引に、テギョンは、休暇をとっていた。


そんな休みのある日…。


テギョンは、自室に籠りながら、曲作りをしていた。
スラスラと、五線譜に、たくさんの音符が並んでいく。

子どもが出来てから、たくさんのインスピレーションが、テギョンの中で湧いていた。

ふと、音符を書いていた手が止まる。


「そう言えば、子どもの名前を決めなければいけないんだよな…しかも、名前は、一生のモノだから…。いい名前をつけてやらないと…」

テギョンは、五線譜を裏返すと、色々な単語を書きはじめた。

テギョンの書く手が止まり、ふと、あるコトバを思い出していた。


"ワタシは、ヒョンニムと言う"星"にくっついてる"月"のみたいなものですね"

「星」…

「月」…

"ファン・ピョル"…"ファン・タル"…英語では、スター…ムーン…中国語では、確か、星が"シン"月が"ユエ"…

ファン・シン

ファン・ユエ

ん?

「ファン・ユエ」

これだったら、男でも女でも通用するよな…。

オレには、星が見えない…でも、月なら、どんなに暗くても、オレには見える…。だから、絶対に見失うことはない。


「ファン・ユエ」

…それが、お前の名前だ。

どんなに暗くても、大事なお前を、ずっと見失わず、見守っていけるように…


そして、もうひとつ、"月"は、オレの一番、愛しているヒトのことだから…。


ユエ…オレが、どんなことがあっても、必ずお前を守っていくから、だから、安心して、この世に生まれてこい。



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