『happiness』
「gift」
*6*
ミニョの妊娠が発覚してから、テギョンは、育児本を何冊も買っていた。
「オッパ、買いすぎですよ…」
テーブルの上に積み上がった育児本を真剣に読んでいるテギョンに、ミニョが、ため息をついて見ていた。
そんなミニョのお腹は、少しだけ目立ちはじめていて、つわりも、だいぶ、おさまっていた。
「そういや、お前、最近、食べすぎじゃないか…?今日、すでにアイス2個食べてただろ…?」
「あぁ…なんか最近、やたらとお腹が空くんですよね…。」
「お前、食べられるようになったことはいいけど、くれぐれも、食べすぎるなよ。産後、体重が落ちなくて泣くぞ」
「はーい」
ミニョが、頬を膨らましながら、返事をする。
「ミニョ、春になったら、アジアツアーがはじまるんだ」
「そうですか。」
肩を落とし、寂しそうな顔をするミニョ。
「日本の東京と大阪、中国の上海、香港、台湾、最後がソウル…。オレが留守の間は、ミジャおばさんが、手伝いに来てくれるからな。」
テギョンが、ミニョの頬を優しく撫でる。
「はい、あんまり無理をなさらないでくださいね」
ミニョが、テギョンの手を両手で包み込む。
「ソウルの最終日には、お前を招待してやるからな。このツアーが終われば、少し、休みがとれるかもしれない。」
「そうですか、楽しみにしてますね。」
ミニョが、嬉しそうにニコッと笑う。
ミニョが、無事に安定期に入る頃、A.N.JELLのアジアツアーの記者会見で、テギョンの口から、公表された。
「私事ですが、妻が妊娠したことを、ここで報告させて、いただきます。」
一斉に、シャッターのフラッシュを浴びるテギョン。
テギョンが、会見の間、終始、にこやかに記者の質問に答えていた。
次の日の新聞の一面には、デカデカと、テギョンの笑顔と、『A.N.JELLのカリスマリーダー、ファン・テギョンが、パパに!!!』と言う見出しがついていた。
行く先々で、テギョンは、人々に、お祝いの言葉をかけられ、ついつい、頬を緩ませていた。
コンサートでも、ファンからお祝いされ、テギョンは、終始、ご機嫌。
ファンには、「テギョン様、お子さまが出来てから、笑顔が多くなって、ますます魅力的になったかも」と、好評を得ていた。
テギョンは、旅先でも、必ず、ミニョに電話をしていた。
そして、旅先では、必ず、マ室長が、テギョンからの命令で、"安産祈願"のお守りを、パシりに行かされていたのであった。
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