『happiness』
「gift」
*3*
テギョンは、病院を出てから、ミニョが、車に乗るとき、降りるとき、玄関のちょっとした段差にも、ミニョに、手を貸す。
"今は、大事な時期…コイツは、事故多発地帯だから、すぐに事故を起こすから、今以上に注意しないと…"
テギョンが、ミニョの動きを注意深く見ているので、ミニョが、小さなため息をついた。
「オッパ、そんなに心配しなくても、大丈夫ですよ…」
ミニョは、不満そうに頬を膨らましている。
「そう言っても、お前は、マヌケなんだから、すぐに事故を起こすだろ?」
テギョンが、ビシッと、ミニョの鼻先を指差す。
「…はい、わかってます。これから、十分に気を付けますから…。」
「今から、オレは仕事だから、無理なことはするなよ。寝ててもいいんだからな。」
「はい」
「今日は、なるべく早く帰るから。じゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
テギョンが、事務所に着くと、練習室に向かう。
すでに、シヌ、ジェルミ、ミナムは、来ている。
「おはよう、テギョンヒョン」
ジェルミが、テギョンに挨拶をするが、テギョンからの返事はなく、テギョンは、ソファーに座ると、携帯の画面をいじりはじめる。
「なんか、おかしくない…?」
ジェルミが、小声で、ミナムに話す。
「確かに…いつもなら、すぐに、練習がはじまって…練習の鬼になるのに…」
「…ミニョだな」
シヌが、ふたりの会話に入ってくる。
「ケンカでもしたのかな?」
ジェルミが、テギョンの様子をチラッと見る。
「いや、違うな。」
シヌも、テギョンを見てる。
「もし、ケンカだったら、口が尖ってるハズだ」
ミナムが、テギョンの口を尖らす真似をする。
「ミナム、そっくり…」
ミナムの仕草に、クスクス笑いだすジェルミ
テギョンが、それに気付き、ギロッと3人を見る。
ジェルミは、「さぁ、練習、練習…」と言いながら、ドラムを叩き出す。
シヌは、何事もなかったように、ギターを弾きはじめる。
「おい、テギョン。ミニョと何か、あったのか?」
ミナムは、テギョンに、直撃していた…。
シヌとジェルミの演奏する手が止まる。
"恐るべし…コワいモノ知らずのチャレンジャー・その名もコ・ミナム"
ジェルミが、口に手を当てて、目を忙しなく動かしながら、ふたりの様子を伺ってる。
シヌは、日常茶飯事の出来事なので、冷静にふたりを見てる。
「…何もない」
テギョンは、平静を保ちながら、テーブルにあった楽譜を手に取る。
「ねぇ、テギョンヒョン、楽譜が逆だよ」
ミナムが、ニヤリと笑う。
"はぁ…コイツは、兄貴だから、言っておかないとダメだよな…"
テギョンは、ため息をつくと、ミナムを見た。
「子どもが、出来た…」
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