短編
イケメン版「美女と野獣」
*10*
ミナムは、教会の長椅子に座り、何日も、ミニョの帰りを待っていました。
ある朝、教会の扉が開き、ミナムが、扉の方に顔を向けると、ミニョの姿がありました。
ミナムは、ミニョのもとに、駆け寄り、ミニョの肩を掴むと、ギュッと抱き締めます。
「心配したんだぞ!!!…無事で…良かった…」
ミナムの安堵する声を聞き、ミニョが、嬉しそうに涙を流します。
「ごめんね、お兄ちゃん…」
「今まで、何処にいたんだ…?」
「ちょっと、森で迷ってしまって、しばらく、近くの家に泊まらせてもらってたの…シスターに会える…?」
「それが、シスターの具合が良くなくて、今、シヌさんの計らいで、町の病院に入院してるんだ…」
ミニョはミナムと一緒に、病院に向かいます。
部屋に入ると、そこには、ベッドで眠るシスターの姿がありました。
「シスター様…」
ミニョは、シスターの手を両手で包むように、握ります。
「やぁ、ミニョ!!帰ってきたんだね。心配したよ」
シヌが部屋に入ってきて、ミニョに声を掛けます。
「シヌさん、ありがとうございます。助かりました。」
ミニョは、深々と頭を下げます。
「いや、いいんだ。すべては、ミニョ…キミのためだから…。キミが結婚してくれるならなんでもするさ。」
「あの…結婚については、何度もお断りしているはずです。それに、今、私には、スキなヒトがいますから…」
ミニョが、少し照れたように頬を赤く染めています。
「どんなヤツだい…?」
シヌは、興味深そうに、ミニョから話を聞きます。
「それは…」
ミニョは、少し考えこむと、突然、思い出したように、魔法の鏡を取り出しました。
ミニョは、鏡に映ったテギョンの姿を、ふたりに見せます。
鏡に映っていたのは、野獣の姿をしたテギョンでした。
☆★☆★
久々に、ミナムとシヌさんの登場。
テギョン王子は、とうとう野獣の姿になってしまいました。