短編

イケメン版「美女と野獣」

*8*



テギョンは、胸に手を当てて、じっと考えています。
"この気持ちは、なんだろうか…?"

ふと、手を見ると、先ほど、ミニョが巻いてくれた包帯が、テギョンの目に入ります。

"何か、礼をした方がいいのか…?"

"でも…何をすればいい…?"

テギョンは、部屋を右往左往しています。


「ご主人様、お昼の用意が出来ました」


召し使いが、テギョンを呼びに来ます。


テギョンが食堂に着くと、ミニョがすでに、席に着いていました。


テギョンは、ミニョにお礼を言おうとしますが、なかなか言葉が出てきません。
ミニョも、朝、テギョンを怒らしたのではないか、と心配になり、言葉をかけることができません。

黙々と食事をするふたり。
結局、ふたりは、何も話さず、食事を終えてしまいました。


マ執事は、様子がおかしいことに気づき、テギョンに、ある提案をします。


「今夜、おふたりで食事会をなされたら、いかがですか…?」

「食事会…?」

「今日、お話を伺ったら、ミニョ様は、シスターをしているそうです。普段、なかなか、オシャレが出来ないと…せっかくなので、正装して、お食事でも…」


テギョンは、腕を組み、しばし、考えます。


「…わかった。娘に、伝えてくれ」


ミニョは、ひとり、ベッドに腰かけ、考えていました。

"お昼のときに、謝ろうと思ったのに…謝れなかったわ…どうしよう…きっと、怒っているわ…"

そのとき、ミニョの部屋の扉をノックするホウキの姿がありました。


「…ミニョ様ですね」


「はい、あなたは…?」

「私は、ワンと申します。ご主人様が、あなたを、今夜のお食事会にご招待されましたよ。」

「お食事会…?」

「はい、あなたを美しく着飾らせるため、私が呼ばれました」

ワンが、ミニョを連れて、衣装部屋に連れて行きます。
そこには、たくさんのドレスがありました。

「わぁー、スゴい…素敵だわ」

ミニョが目をキラキラさせながら、ドレスに触れます。

「どうぞ、お好きなモノをお選びください。」

ミニョは、たくさんの色のドレスの中から、一着のドレスを選びました。


ミニョは、そのドレスに着替えると、食堂に向かいました。



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