短編

イケメン版「美女と野獣」

*7*



翌朝、ミニョは、食堂で朝食を食べていました。


ゆっくりとした足どりで、食堂にやってくるテギョン。

「おはようございます」


ミニョが挨拶をしますが、テギョンは、気づかないふりをしています。
ミニョが、寂しそうに、シュンと俯いた視線の先に、テギョンの手のキズがありました。

"昨日は、なかったような…"

ミニョが、首を傾げます。テギョンは、ミニョの視線に気づき、キズを隠そうとします。


「あの、ロウソクさん、包帯と消毒液はありますか…?」


ミニョが、小声で、マ執事に聞きます。


「ミニョ様、お怪我でもなさったのですか?」


「いえ、私ではなく…」


ミニョが、席を立ちます。

数分後、ミニョは、包帯と消毒液を持って、テギョンの前に立ちました。


「あの、手を怪我してませんか…?そのままでは、酷くなってしまいますよ」


「うるさい!!オレに構うな!!」


ミニョは、テギョンにビクビクしながらも、その場から、離れようとしません。

「とにかく、バイ菌が入ったら大変です。手、出してください。すぐ終わりますから」


"コイツは、なんだ…?オレが怒鳴っても、メイドみたいに泣きやしないし、逃げもしない…"


テギョンが、ミニョに、おずおずと手を差し出します。

ミニョは、座っているテギョンの前に、膝をつくと、その手を優しく取ります。

時折、傷口がしみるのか、顔を歪めるテギョン。

ミニョは、テギョンの手に、包帯を丁寧に巻きます。

「はい、出来ました」


ミニョがテギョンを見上げ、ニコッと微笑みます。

そのとき、テギョンの心臓が、ビクッと跳ねあがりました。

テギョンは、ビックリして、ミニョから、手を振り払ってしまうと、顔を逸らしてしまいます。


"なんだ…?この気持ちは…?"


今まで一度も感じたことがない感情が、テギョンの心に芽生えはじめていました。


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