短編

イケメン版「美女と野獣」

*6*



"ミニョ…、世の中には、色々な人たちがいます。でも、偏見を持ったり、見た目で判断はしてはいけませんよ…自分の目で、しっかりとその人の心を見なさい。あなたは、いつでも、真心を込めて、人と接しなさい。心を込めて、接することで、あなたの気持ちや思いは、その人に通じますよ"


ミニョは、テギョンの姿を見て、言葉を失いますが、ふと、シスターに言われた言葉を思い出しました。

「あ、あの、あの…ミニョと申します。助けてくださいまして、ありがとうございます。」


ミニョは、深々とテギョンに頭を下げます。


「おい!!マ執事!!この娘を部屋から出すなと言っただろ!!」


「あ、申し訳ございません。」


ロウソクのマ執事がペコペコ頭を下げます。


「あ、あの、わ、私が、お腹を空かせていたので、このロウソクさんが、用意してくださったんです…。すみません…。」


ミニョが、頭を下げます。

"あぁ、なんて優しい娘さんなんだぁ…"


マ執事は、感動してました。

"この娘さんなら、王子を受け入れてくれるはずだ"

「あ、あの、私は、これでお暇(いとま)させていただきます。」


ミニョが、席を立ち、出ていこうとします。


「あぁ、お待ちくださいませ、ミニョ様…」


"この、チャンスを逃したら、もう二度と、元の姿に戻れないかもしれない"


マ執事が、急いで、ミニョの元に行きます。


「もう外は、暗くなっています。それに、夜の森は、大変、危険です。どうか、今夜は、この城で、お休みください」


マ執事が、必死に、ミニョを引き止めます。


「そうですか…でも…」


ミニョが不安そうに、しかめっ面のテギョンを見ます。


「大丈夫です…さぁ、お部屋に案内しますよ」


マ執事は、ミニョを部屋に案内します。


ミニョを部屋に連れていき、マ執事は、テギョンの元に戻ります。


「おい、マ執事…どういうことだ…?」


ギロッと睨むテギョン。


「あ、あの…ご主人様、ミニョ様は、とても心優しい方です。こんな姿の私にも、優しく接してくれます。ミニョ様がこの城にいてくれれば、この魔法は、解けるのでは、ないでしょうか…」



"こんな姿を、誰が愛してくれる…?"


テギョンは、マ執事が出ていったあと、ひとり鏡を見つめます。


"誰も、愛するわけがないだろ…?"


テギョンは、鏡を拳で割ります。

足元に粉々に砕けた、ガラスの破片が、辺りに散らばっていました。



☆★☆☆

シスターの教え"誠心誠意"は、ミニョに、ちゃんと、伝わっています。


ミニョの優しさで、テギョンが変わるといいですけど…それは、また次回に。