短編

イケメン版「美女と野獣」

*1*



森の奥にある城に、顔は美しいのに、とても傲慢な王子が住んでいました。


「テギョン様、お食事のご用意が出来ました。」


「なぜ、オレのキライなモノばかり入ってる…?しかも、これは、オレのアレルギーだ…お前は、オレを殺す気か…?」


テギョンが、食事を持ってきたメイドを鋭い眼差しで、睨み付けます。


あまりの恐さに、メイドが泣きながら、その場を去っていきます。


「あぁ…また、はじまってしまった…王子が怒りだすと、誰も止められないんだよな…」


そのテギョンの、ワガママぶりには、城の召し使いたちも、大変困っていました。


ある日の夜。


城に、来客がひとり、訪れてきました。


腰の曲がった、醜い老女でした。


「森を歩いていたら、道に迷ってしまったのです。一晩でいい、泊めてほしい…お礼に、この一輪のバラを差し上げます」


しかし、テギョンは、それを拒否します。


「許可しない…他を探せ」


「この森には、この城しかありません。もう歩けないのです。喉も渇いてしまい、腹も空かせています…どうか、一晩だけでいいのです。城に入れてください」

もう一度、老女は、テギョンにお願いしますが、テギョンは、聞く耳を持たずに追い返します。


「何度、お願いしても同じだ。ここから、出ていけ」

すると、その瞬間、醜い老女が、美しい魔女に変わります。


「優しい心を持たない王子、その王子に何も言えないでいる、召し使いたち…あなたたちには、お仕置きが必要ね…」


魔女が城全体に魔法をかけていきます。


「あなたは、この城から、一歩も出られないように、そして、時間が経つと、野獣の姿になるようにしたわ…召し使いたちは、家財道具に…この城には、誰も来れないように、強力な魔法をかけたわ」


城は、みるみると、緑の蔦に覆われてきます。


「でも、少しだけ、あなたたちに猶予を与えるわ…」

魔女は、なんでも映し出すことができる魔法の鏡と、そして、一輪のバラを置きました。


「このバラの花びらが、全部、散ってしまうまでに、王子が、人を愛し、愛されるという『真実の愛』を見つけなれば、王子は、野獣の姿に…あなたたち召し使いも、この美しい城も、一生、このまま…魔法がとけることはないわ」


魔女は、そう言うと、姿を消してしまいました。



★☆★☆


ちなみに、魔女役は、ファラン様に…。

原作は、最初から、魔法で、王子は、野獣の姿になってしまいますが、このハナシでは、徐々に変化します。