短編

イケメン版「はだかの王様」
*2*



そして、またある日、詐欺師コンビが、王様の元にやってきます。


「王様、いかがでしょう?」

テギョンは、ありもしない布地を広げて、見せます。

「?」


王様のフニの、ちっちゃな目が点になっています。


「まさか、王様、この布が見えないのでは…?」


ミナムが、フニを疑うような目で見ています。


「い、いや、見える。なんとも、美しい布地が…」


王様は、うろたえながらも、目に見えない布地を褒めます。


「お気に召しましたか?」


テギョンが、ニヤリと笑います。


「あぁ、とても…」


フニは、家来たちの前で、恥をかくわけにはいかず、必死で、嘘をつきます。


「では、これを着て、是非、パレードを」


ミナムが、ニッコリと笑います。


フニが、見えない衣装に袖を通します。

誰がどう見ても、その衣装は見えません。

しかし、その衣装が見えなければ、皆、バカ扱い、そして、相応しくない仕事をしていることになってしまいます。


「王様、ステキですよ」


「なんと、いい布地でしょう」


家来たちが、口々に褒め称えます。


詐欺師コンビは、笑いをこらえるのに、必死です。


「さぁ、皆のもの、いざ、パレードへ」


「皆の衆、この衣装が見えなければ、皆、バカ扱い、そして、相応しくない仕事をしている者になる」


見物人も、バカ扱いされたくないため、見えない衣装を褒めます。


しかし、ひとりの金髪の少年が、大声で叫びます。


「王様は、ハダカだよ!!!」

その声に、皆が、反応します。

「やっぱり、王様はハダカだ!!!」


王様一行は、何も言えず、ただパレードを続けるしかなかったのです。


★☆★☆


「あいつら、まんまと騙されてやんの」

大声をあげながら、笑うミナム。

「見えもしない布地を褒めるなんてな」

テギョンも、ニヤリと口角をあげます。


詐欺師コンビは、がっぽり金儲けをし、その王国を後にしました。


★おしまい★


☆★☆★


「テギョンもミナムも、あんまりだぁ…そんなに彼女が大事か…?」

眼鏡を外し、ワンワン泣き出すマ室長…。

「それなら、あいつらに言ってやればいいじゃない」

ワンが、マ室長の背中をバシバシ叩きます。


「そんなの無理だぁ…テギョンなんか、メデューサのように睨むし、ミナムは、言葉巧みに、オレを惑わせる…。しかも、逃げ足が速い…」

テギョンとミナムに振り回され、コキをつかわれ、ヘトヘトのマ室長でした。