短編
イケメン版「マーメイド」
*1*
それは、海の底に暮らす、人魚姫の恋のハナシ…。
「ミニョ様、海の上まで昇っていってはダメですからね!!アン王様に怒られますよ!!」
海底の宮廷で、アン王の側近を任せられている、フニが、アン王の一人娘の人魚姫のミニョに大声で注意をしています。
ミニョは、相棒のジェルミと一緒に、また、海の上まで、昇っていきます。
「ミニョ、いいの?フニの言うこと聞かなくて…」
ジェルミが心配そうに聞きます。
「いいの。だって、海の外の世界が、どんなものかとっても気になるもの…」
ミニョとジェルミが海の上までいくと、大きな船を見つけます。
「大きな船だなぁ…」
ジェルミが口を開けながら、船体を見ています。
"なんて、ステキなひとなのかしら…"
ミニョが見ていたのは、船に上にいる、ひとりの美しい人間の王子でした。
王子の名は、シヌ。
茶色の髪色に、同じ色の瞳。優しそうな顔立ち。
ミニョは、シヌ王子に目を奪われていました。
その日の夜、その船は、嵐に遭い、難破してしまいます。
ミニョは、急いで、海の上までいくと、難破した船の中に、日中、見かけたシヌ王子の姿がありました。
「大変…助けなくちゃ…!!」
ミニョは、溺死寸前のシヌ王子を浜へと連れていきます。
ミニョは、小さな声で歌いながら、シヌ王子を優しく介抱します。
シヌ王子が目を覚ますと、ミニョの姿はありませんでした。
しかし、シヌ王子の耳には、微かに、ミニョの美しい歌声が残り、その歌声に、強く惹かれたのでした。
海底に戻ったミニョは、もう一度、シヌ王子に会いたいと思います。
ミニョは、願いを叶えるため、ある場所に向かいました。
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