短編

「キミのトナリで…」

*ミニョ*side



今日は、アナタが、久々お休みの日。

休みでも、アナタは、机に向かっている。

コーヒーを作って、アナタに渡す。

ワタシは、少し離れた場所で、本を読んでいる。


アナタが、ふいにワタシに聞いてくる。


「どこか、出かけるか?」


でも、ワタシは首を振る。

「ココでいいです。だって、テギョンさん疲れているのでしょ?無理して出かけることはありません。」


"アナタのそばにいれるだけで、ワタシは充分です"

"だから、休みの日くらい、ゆっくり休んでほしい…"


アナタは、腕を組み、いつもの口を尖らせる仕草をしている。

"ワタシ、また、怒らせた…?"


アナタは、立ち上がると、椅子に掛かっているコートと、ワタシの上着とバッグを持つと、ワタシの腕を引っ張り立ち上がらせた。

そのまま、グイグイと、ワタシの腕を引っ張っていく。
ワタシは、驚きながらも、アナタに付いていくしかない。


「ちょっと、出掛けてくる」

アナタは、リビングにいるみなさんにそう言って、合宿所を出て、ワタシを車の助手席に座らせた。


何も言わない、アナタの運転している横顔を、ただ、見つめてる。

ふいに、窓の外を見ると、夕闇がせまっていた。


着いた先は、前にアナタと行ったことがある映画館だった。

薄暗い館内、見えないアナタを心配して、何気なくアナタの手を取った。


「ここは、暗いですから」


アナタの手を引いて、座る場所を探す。
時々、離れそうになるワタシの手を、ギュッと握るアナタ。


カップルシートに座ると、恥ずかしくて、アナタとの距離を空けて座ってしまう。

すると、突然、アナタがワタシの腕を掴んで、引っ張られてしまう。


「キャッ!?」

バランスを崩して、アナタに寄りかかってしまう。


恥ずかしくて、顔を真っ赤にしていると、アナタが、口元を手で抑え、クスクス笑っている。

アナタの手が、ワタシの肩に回って、ギュッと引き寄せられる


"あー!!どうしよう!!アナタが気になって、映画になんか集中できない…"


たまに、アナタがワタシを見ると、恥ずかしくて、目を逸らしてしまう。

映画が終わると、屋上に向かった。

まだ寒さが残る、この季節。
屋上には、誰もいない。

ベンチに腰かけると、夜空を見上げた。

満天の星空に、つい口を開けながら、星に見入ってしまう。

ふと、手をアナタにギュッと握られ、そのまま、アナタのコートのポケットの中に入った。

ビックリして、アナタを見る。


「今日は、星が、よく見えるのか?」


アナタが、目を細めながら、夜空を見上げている。


「よく、見えますよ…たくさんの星が見えますが…でも、私には、ひとつの星しか見えません…」


"なんで、アナタのことを思うだけで、胸が、キュンと切なくなるのでしょう"

"なんで、アナタの手を握るだけで、その痛みがやわらいでいくのでしょう"


"アナタは、ワタシだけのお星様ではないのに… "


"アナタを、独り占めしてはいけないのに…"


"それでも、アナタの傍にいたいと思うのは、やっぱり、贅沢なのでしょうか…?"

そんなことを考えると、ふいに泣きそうになる。


「ミニョ…」

アナタに名前を呼ばれ、アナタの顔が、ゆっくり近づいてくる。

アナタの温かい唇が、ワタシの唇に触れる。



アナタが、ワタシを家まで送り届けてくれる。

今度は、いつ会えるかもわからない…。

別れ際に、ギュッとアナタに抱き締められる。


"ほんの少し、わがままを言ってもいいですか…?"

"微かに震えるこの胸を、今は、誰より強く抱いていてください…。"


ワタシは、アナタの背中に、手を伸ばし、キュッと力をこめた。


"アナタのトナリにいれるだけで、ワタシは幸せです。"



☆…★…☆…★

「きみのとなりで」
song:BoA


久々に書いたから、こんなんでいいかしらと不安…。