イケメン版

「ロミオ&ジュリエット」

*第三十五話*

「未来永劫のシアワセ」

テギョンが、薬瓶に、口をつけようとした時です。


「待て、早まるな…!」


その声で、テギョンの動きが止まります。

テギョンとミニョの様子を遠くで見ていたシヌが、テギョンの元へとやって来ます。


「お前、まだ、ここにいたのか?悪いが、邪魔をしないでくれ…」

テギョンがシヌを、鋭い眼光で睨みます。

「オレの話を聞かないと、後で、後悔するぞ…」


シヌは、全く動じず、すぐに話を続けます。


「お前の、ミニョ様に向ける愛は、誠だと見た…。お前に、真実を教えてやる…」


「…真実…?」


「ミニョ様は、死んでなどいない…。薬で眠っているだけだ…」


「嘘だ…」

「嘘では、ない。本当だ…」

シヌは、懐から、薬瓶を取り出します。

「マ神父様が、作り出した、眠り薬だ…神父様本人に聞いた。間違いはない…。そのうち、ミニョ様は、眠りから覚めるだろう…」


テギョンが、眠るミニョの顔を見つめます。心なしか、頬に赤みが戻ったようにも見えます。

「ミニョ…?」

テギョンが、ミニョの手を優しく握ります。


「テギョーーン!!!」

教会の入口から、マ神父が、息を切らしながら、走ってきます。

「良かった……間に合った……」

「神父様、ふたりは、無事ですよ…。じき、ミニョ様も目覚めることでしょう…」

「おぉ…、これは、シヌ殿、おったのですね…。助かりましたよ、本当…。」

マ神父が、アハハ笑いながら、シヌに頭を下げます。

テギョンが握るミニョの手に、微かに、反応があります。
テギョンは、少し、手を握っている力をこめました。

「ミニョ…」

ミニョの瞼が、ピクピク動きます。
そして、ゆっくりと、瞬きを繰り返しながら、目を覚ますミニョ。

ミニョの目の前には、愛しいテギョンの顔がありました。


「ミニョ…」

ミニョが、ニッコリと笑います。まだ薬が、抜けきっておらず、身体も動かすことが出来ず、声も出ません。

それでも、テギョンは、ミニョに優しく微笑むと、ミニョを抱き起こし、ミニョの身体を、強く抱き締めました。


「あぁ、良かった……」

マ神父が、ホッと胸を撫で下ろします。

シヌは、どこか寂しそうな顔で、ふたりを見つめています。


教会の外は、すでに夜が明けて、白々と空が明るくなっていきます。


「ふたりとも、そろそろ…」

マ神父が、ふたりに声を掛けます。

テギョンは、まだ身体を自由に動かせないミニョを、横抱きします。


「しっかり、掴まってろよ…もう、絶対、離すなよ…」


ミニョは、頷くと、恥ずかしそうに、それでも、嬉しそうに、ギュッと、テギョンの首に腕を回します。

テギョンは、そんな、ミニョに、口の端をあげ、抱き上げた腕に力をこめます。

「後は、任せるぞ…」

テギョンが、マ神父とシヌに言います。

「大丈夫だ…なんとか、やるから…。気を付けて行けよ。」


マ神父が、裏口の扉を開けます。

「それでは、ミニョ様、お幸せに…気を付けて」


シヌは、ニッコリ微笑み、ミニョの額に口づけをします。

ミニョも、頬を染めながら、ニッコリと頷きます。


「さぁ、行くぞ…」

テギョンが、シヌの行動に、口を尖らせながらも、ミニョに言います。


ふたりが、教会の外に出ると、雲の隙間から、太陽がふたりを祝福するように、明るく照らしていました。


☆…★…☆…★


原作のラストを無視して、こんなことになりました。
いかがだったでしょうか……??( ̄▽ ̄;)ドキドキ


テギョンとミニョのハナシはここまでになります。

あと、おまけとして、ハナシをいくつか…疑問を解決するため、もう少し続きます。

ミナムのことや、両家のこと、あと、番外編で、シヌ様があります。

そちらも、合わせて、よろしくお願いします。