イケメン版

「ロミオ&ジュリエット」

*第三十一話*

「誤報」

テギョンの逃亡先に、マ神父の伝言を伝えにきた、薬剤師のドンジュンがいました。

「ファン・テギョン様…いらっしゃいますか…?」


ドンジュンが、ゆっくりと歩みを進ませ、テギョンを探します。

しかし、何処を探しても、テギョンの姿はありませんでした。


それは、ドンジュンがやって来る、数時間前……。


テギョンにも、ミニョの情報は、耳に入っていました。
しかし、それは、マ神父が頼んだ伝言ではなく、間違ったかたちで、入っていたのです。

その情報を伝えたのは、ジェルミでした。
ジェルミが、いち早く、ミニョの情報を聞きつけ、テギョンの元へとやってきました。

「ミニョが…死んだ……?」

テギョンが、放心状態のまま、フラフラと歩きだします。

「ミニョ」

「ミニョ」

「ミニョ」

テギョンが、ミニョの名前を、何度も呼びます。

テギョンの瞳から、涙がボロボロ零れ落ちます。
テギョンは、その場で、崩れるように座り込みます。
流れる涙を拭いもせず、声を殺さず、泣き叫んでいました。


「ジェルミ、オレは、ミニョの元に行くぞ…」

テギョンが、袖で涙を拭います。

「兄貴、それは、ダメだよ…危険すぎる……今、国に帰ったら、兄貴の命が危ないよ……」

ジェルミが、首を横に降りながら、テギョンを止めます。

「それでも、いい…ミニョの元に逝けるなら、本望だ…でも、もう一度だけで、いい……ミニョに会いたい……」


テギョンは、一瞬、空を仰ぎ、それから、前を見据えました。

そして、テギョンは、また国へと、戻っていったのです。


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