短編

「Memory」


オレの小さな頃の思い出…。

早くに、オレたち双子は、両親を亡くして、施設の方へと、預けられていた。

小学生の頃、妹は、いつも泣いていた。

心もとない、バカなヤツらのイジメのせいで…。

オレたちに、帰る家はなく、帰る場所は、いつも修道院の隣の施設。

それを目撃したヤツらが、ミニョに「みなしご!!」と言い放っていた。

「あの施設に帰るのは、親がいないんだろ?母ちゃんが言ってたぞ」

「お前ら、ふたりは親に捨てられたんだ」

「やぁーい、みなしご!!」

バカなヤツらが、妹を泣かす。
大声をあげて、泣きじゃくる妹。
オレは、妹を守るようにして、妹の前に、両手を広げて、ヤツらの前に立ちはだかった。

オレより背の高いヤツら。上を見上げながら、ヤツらを睨む。

ヤツらが、オレに殴りかかる。
そして、いつものケンカがはじまる。

すぐに、シスターたちにケンカがバレて、シスターたちに怒られ、掃除のバツが、与えられる。

そのあと、オレは、院長室に呼ばれる。

「オレは、悪くない。悪いのは、アイツらだ」

院長先生に、そう言うと、 院長先生が、オレをギュッと抱きしめてくれる。

「あなたは、ミニョを守ろうしたのですよね…。それは、素晴らしいことですが、ヒトに暴力を振るのは、許されませんよ」

アイツらとケンカせずに、ミニョを守る…。

まず、行方不明の母親を探そう…。

そのためには、オレが有名になれば、いいんだ。

そうすれば、きっと、母親が、オレたちを見つけてくれる…。

オレは、夜空に輝く星に誓った。



それから、月日が流れ、

オレは、いつものように、街に出て、公園で、ギターを持って、歌を歌い始める。

そんなある日、丸眼鏡のオッサンに出逢う。

あの、「A.N.JELL」のマネージャーをやってるんだと。

いかにも、胡散臭そうな笑顔…。

まぁ、でも騙されたと思って、挑戦してみるのもいいか、と軽い気持ちで、オーデションを受ける。

見事に合格。

そして、オッサンがオレに言う。

「今の流行りは、切れ長の目だから、思いきって、整形しよう。もちろん、金は出すから」

金が出るならと、整形したら、失敗…。

くそ~、やっぱり、信じちゃいけない顔だった。

契約日の前に、オレは、アメリカに飛んだ。

それから、オレの替え玉で、ミニョが加入したとオッサンに聞いた。

ミニョは、ドジだから、みんなに迷惑をかけてないといいけど…。