ただいま議題となっております 第59号議案 令和4年度 長岡京市一般会計歳入歳出決算につきまして、平成自民クラブ、平成西山クラブの2会派を代表し、賛成の立場から、若干の意見と要望を申し上げます。

 

令和4年度の決算規模を見ますと、歳入総額は前年と比べて6%増の約404億円、歳出総額が7%増の383億円余りとなり、差し引き20億円の黒字、実質収支では17億円の黒字となりました。財政健全化法に基づく健全化判断比率等4指標に関しても問題なく、健全な財政運営であった点を、まず評価いたします。

 

歳入に関して特筆すべきことは、市税収入が予算を大きく上回ったことです。法人市民税の大幅増収の影響が大きかったようですが、個人市民税も0.2%の減と横ばいと評価できる水準で、令和3年の所得状況に応じた賦課であることを踏まえますと、当時はコロナの影響が大きく、厳しい状況だったと記憶していますが、総体として本市市民の生活は当初想像していたほどの落込みもなかったと推測され、安堵いたしました。とは言え、全ての市民・事業所に経済的な影響がなかったわけではなく、その点を充分に配慮して新たな事業に取り組まれてきたことは承知していますし、平成会派はその時々の補正予算にも賛成してまいりました。これらの事業が功を奏し、コロナ禍での市民生活の支援に繋がったのであれば、我々も責任の一端を果たせたものと考えるところであります。

 

続いて、歳出に移ります。

コロナ対策としては、令和4年度はワクチン接種や学校を始めとする人の集まる場での感染拡大対策を続けられたことはもちろんですが、徐々に非常時を抜けようとする努力の中で、少しずつコロナ前の日常が戻ってきたように感じたところでありました。しかしながら一方では、世界情勢を背景にガソリンや電気・ガスといったエネルギーを筆頭に、今も続く急激な物価高騰に見舞われ、日常生活が大きな影響を受け、対応を迫られることとなりました。そのため、7月、10月と2度の臨時議会を開催し、新たな事業の実施を議決したところでありますが、臨時議会の開催も含め、議会を尊重し、且つタイミングを外さぬ迅速な対応であったと評価しています。

具体的には、まず「ライン・クーポン祭」「市役所デジタル化」「市内事業所の感染時緊急対応支援」などが当初予算として組まれました。次いで7月臨時議会では、「家計支援給付金」と「事業者支援」に加え、エネルギー価格高騰の影響を受けにくくするための設備投資などを支援する「クールチョイス」の補助にも手厚く取り組まれました。リフォーム工事券なども大変好評であったと聞き及んでいるところです。更に10月臨時議会では低所得者と子育て世帯を対象とした「くらし支援給付金」の創設と、年度を通して的確に市民および事業者を支援してこられたものと評価しております。

同時に、これらの市独自の事業の合間には、政府による経済対策も織り込まれ、庁内の様々な部署で対応を迫られたことと承知しています。給付金やクーポン事業などは、すべてが新たな業務負担であったにもかかわらず、滞りなく執行されたことについては、議会の立場からも職員の皆さんをねぎらいたいと思います。

 

続いて市政全般について、総合計画に沿って討論してまいります。

第1に「こども」ですが、教育環境の整備を取り上げます。まず、長岡第四小学校の再整備、長岡第九小学校の給食室をはじめとする整備が進められました。続いて長岡第三小学校の再整備の準備も進んでいるところですし、その他にも特別教室や体育館・武道場への空調設置など、近年の温暖化に対応した環境整備が進められています。本市に住む子供達が、安全で快適な環境の中で健やかに成長していけるよう、事業の着実な進捗を期待するものです。

 

第2に「くらし」ですが、決算の視点ではコロナと物価高騰対策として行われた複数の給付金や福祉関係事業者への支援が行われたことが大きいと思いますが、評価については先に述べたとおりです。

 

第3に「かがやき」についてです。本市にはかつて2度にわたって都が置かれたという輝かしい歴史は、市民にとってかけがえのない誇りであり、先人の長い営みの中で、本市域には様々な時代の文化財が残されています。そこで、「7つのものがたり・8つのビジョン・4つの方針」を軸とした「文化財保存活用地域計画」が策定されました。まさに、市制施行50年という節目の年にふさわしい取組であったと評価しています。

 

第4に「まち」を見てみますと、何より新庁舎1期の供用開始が記憶に残るところです。新庁舎移転と同時に進められた市役所のデジタル化により誕生した「書かない・待たない・来なくてよい」市役所に関しては、まだまだこれからも成長の余地があるものとは思いますが、文字通り次の50年の新たなカオとして、二期庁舎建設工事も鋭意進めていただきたいと思っております。

また、10月には市内商工業者の長年の思いがつまった「長岡京市中小企業振興基本条例」が施行されました。条例制定まで、担当部局には種々のご苦労があったことと推察しますが、議決はゴールではありません。この条例を市民が意識を持って地域経済を支えていく契機とすべく、今後の取組を期待しています。

 

第5に「みどり」においては、まず「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を取上げます。これは、温暖化対策の国際的枠組である「パリ協定」の実現のため、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すことを宣言したものと理解しています。今後は公共施設の整備をはじめ、市政全般にわたり「市の姿勢」が問われていくという覚悟が必要だったと思っています。未来の長岡京市民に、我々は何を残すのか、防災・減災の視点からも積極的に取り組んでいただくよう要望しておきます。

先ほども述べた「クール・チョイス 実践補助金」の拡充ですが、世界的なエネルギー価格の高騰は多くの市民にとって、家庭でのエネルギー使用の在り方を振返り、事業の将来について考え、行動を変えるきっかけとなったのではないかと想像しています。環境問題というのは、思いが意識となり、意識を行動に繋げ、行動が広く浸透して初めて社会が変わっていくものでありますが、その行動を変えるきっかけとなったという意味でも意義深い事業であったと評価しています。

 

第6に「けいえい」ですが、市制施行50年の節目らしく、多くの特筆すべき事業に取り組まれました。まず、その市制施行50年の記念事業は、長く慣れ親しんだ旧庁舎とのお別れも重なり、年間を通じて様々なイベントがありましたが、いずれも参加した皆さんが「もっと長岡京市を好きになる」取組とできたのではないかと感じています。

新たに、「長岡京市助け合いとつながりのまちづくり条例」も施行されました。人と人の絆のありがたさを見直すことは、本市に限らず日本中の都市が抱える課題であると認識するところです。「ひと」あってこその「まち」ですから、条例の理念がこれからの長岡京市の基礎となって、市民生活を支えるよう今後の展開に注目しています。

3点目は、ガラシャ祭です。3年振りに行列巡行や楽市楽座が開催され、実に2万人を超える参加があったとの報告を聞き、一市民としても大変喜ばしく感じたところであります。

 

最後に、令和4年度は、本市の市制施行50年の節目の年でありました。この節目の年の予算を議会に提案されるにあたり、中小路市長は、コロナ対策を最優先に、市制施行50年、新庁舎とデジタル化の推進、まちの新陳代謝、教育環境の整備を柱に編成したと説明されました。決算の認定に当たり、これらの視点で振り返りますと、それぞれの柱ごとに、既に述べました通り特筆すべき事業が予定されていましたが、いずれも滞りなく執行されたこと、極めて健全な財政状況を維持されたこと、議会との対話を尊重し、議論を深められたことを評価するものです。 また、既に述べました「長岡京市助け合いとつながりのまちづくり条例」「長岡京市中小企業振興基本条例」「2050年ゼロカーボンシティ宣言」「文化財保存活用地域計画」の4点を、中小路市長は「8万人と、つなぐ未来」と表現されました。これらの取組が花開き、8万2千市民にとってかけがえのない長岡京市として、本市がさらに成熟していくことを期待しまして、平成会派の賛成討論といたします。