介護人材確保に向けた取り組みについて

①   介護人材の確保について

②   ケアマネジャーの処遇改善について

介護人材確保に向けた取組について、お伺いいたします。

今年度は、令和6年度からの3年間を計画期間とする「第9期介護保険事業計画」「第10次高齢者福祉計画」を策定する年度であり、計画策定に向けて昨年度には、「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」、「居宅介護支援専門員アンケート調査」、「在宅介護実態調査」を実施するなど、計画策定の作業を進めていると担当課からお伺いしたところです。

次期計画期間中には、団塊の世代が全て75歳以上になるという「2025年問題」を含んでいることから、今後もさらに高齢化は進むことが予想され、介護サービスの利用増加のみならず、介護職員の不足も危惧されるところです。

厚生労働省によると、令和3年7月発表の「国における第8期介護保険事業計画」に基づく介護職員の必要数として、2019年度では211万人の介護職員が従事していたのに対して、2040年度には約280万人が必要となり、約69万人の上乗せが必要と見込まれているところです。

本市におきましても、現介護保険事業計画では、今後の推計として2040年には65歳以上人口が2万3,440人、高齢化率が32.3%と30%を超えると見込まれていることから、介護ニーズが高まることが推察され、介護職員の人材をいかに確保するのかは重要な課題であると考えるところです。

私は、昨年の6月議会の一般質問において、介護職の確保・定着率の向上、また、採用が困難な状況を踏まえたときに、介護職員の社会的評価を上げることが必要になってくるのではないかと考え、市長にその認識、また、今後の施策について質問させていただきました。

市長からは、「介護職の社会的評価を上げるためにはネガティブイメージの払拭が肝要と考えており、介護職のイメージアップとして広報紙に介護従事者のインタビュー記事を掲載し、市民全体に発信している」とのご答弁をいただいたところです。

しかし、介護職の社会的評価は一朝一夕に上げるのは難しく、継続的な取り組みが必要だと考えます。

そこで1点目として、介護職の社会的評価を上げるために令和4年度にはどのような施策を実施されたのかお伺いします。

 

また、介護職の中長期の定着率向上による介護職の確保のためには、介護職員の社会的評価を上げるとともに、処遇改善が求められるところですが、介護人材の処遇改善につきましては国が介護報酬において様々な加算を設けることにより推進されています。しかしながら、本市が現在置かれている状況は、地域による賃金差を介護報酬に反映するための地域区分の設定が6級地でありますが、本市の周辺には本市よりも高い地域区分の自治体もあり、そのことが近隣他市との報酬の差となっているのではないかと考えるところです。介護サービスを利用する方の増加に伴い、特に、本市においてはケアマネジャーの業務負担の増加とともにケアマネジャー不足が課題となっており、ある居宅介護支援事業所の方からは、介護報酬の地域差がケアマネジャーの市外への流出にも繋がっている要因になっているのではないかとのお声もお聞きするところです。

この賃金差を縮めなければ、今後もケアマネジャーの不足が続き、介護サービスの円滑な提供にも支障を生じかねないと考えるところです。

そこで、2点目として、介護人材確保に向けた取り組みとして、本市での介護職員、特にすでに不足が生じているとされるケアマネジャーの処遇改善に向けた取組みについてお伺いします。

(2023年7月半夏生を迎える角宮神社)

【市長答弁】まず、「介護人材の確保の取組」についてですが、「介護職のイメージアップ」を図る観点から「広報長岡京」において、令和3年度に本市が初めて実施しました就職フェアへの参加を契機にヘルパーとして働き始めたお二人の対談を掲載しました。福祉の仕事は未経験であったものの就職いふぇあに参加して興味を持つことができたなど、福祉の仕事に対する思いを語っていただき、働き甲斐のある職業であることをはっしんできたのではと考えております。また、こうした取り組みと併せて「潜在的有資格者および未経験者への就労支援」として2回目となる就職フェアを実施したところ、市内の介護事業所から11法人(うち新規4)が出展、来場者は33名、マッチング件数は5件と着実に増えております(令和3年度1件)
また、「離職防止、定着促進」は職員の採用同様に大きな課題となっており、改善に向けてはよりよい職場づくりや組織力の向上が重要と考えております。取組としては、市内介護事業所に勤務されている方々の階級ごとに求められるスキル(新人級にはコミュニケーション、リーダー級にはチームビルディング、管理職級にはマネジメントやハラスメント等)の向上を図るための研修を実施しました。各事業所からの多くの参加があり、事後アンケートではすべての階級において業務に役立つ内容であったとの回答を得ています。なお、効果検証の目安の一つとして、市独自で市内介護事業所において離職率の調査を行ったところでは、令和3年度の平均5.0に比べ令和4年度は4.2%と改善がみられる結果となっています。介護人材確保事業の取組みを始めた令和2年度は6.0%でしたので、一定の効果が出ていると考えております。

次に「ケアマネージャーの処遇改善」についてですが、介護報酬に反映するいわゆる地域区分について、本市においては京都市と同じ5級地・10%の設定が可能でありますが、級地の引き上げは報酬単価だけでなく保険料や利用者負担の増額ともなりますため、これらの大幅な変更緩和からの観点から、これまで特例としての経過措置を適用し、6級地・6%の設定としてきたところです。一方、こうした級地の差による具体的な報酬の差額は、例えば要介護1の方のケアプラン作成に係る報酬単価では、1件当たり302円、1か月に39件作成した場合で、年間約14万円の差額が生じることとなり、ケアマネージャーの市外流出の要因の一つとのお声もお聞きしているのは、議員ご指摘のとおりであります。そこで、次期介護保険事業計画から、特例としての経過措置適用を行わず、地域区分の級地を引き上げる方向で検討していきたいと考えております。これは、次期介護保険事業計画期間中には、団塊の世代が後期高齢者となるいわゆる2025年問題を迎えるにあたり、介護サービスを提供する上での基盤となる、ケアマネージャーを含む福祉人材の確保が喫緊の課題となることを見据えたものであり、この解消につなげることをねらいとしたものです。なお、国において現在検討が進められている報酬改定の動向を注視すとともに、必要となるサービス供給量の見込みを的確に推計することにより、保険料の設定を含めて適正な介護保険制度運営に努めてまいりたいと考えております



母92歳の「夏越祓い」健やかでありますように